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日本代表 8年前

手倉森J、五輪へラストサバイバル。仲間の想いを『託す者』と『託される者』の行方

text by 舩木渉 photo by Getty Images

中島&室屋が完全復活。手倉森監督も高評価

 彼らのようなリオ五輪のメンバー入り”当確”と言われる主力選手たち以外にも、南アフリカ戦では負傷者の復帰というポジティブな要素があった。

 これまで定着していた10番ではなく13番を背負って2得点を挙げた中島翔哉と、フル出場で両サイドバックに入った室屋成の帰還はチームにとって大きなプラスとなる。室屋は久々の復帰だったが違和感はなく「周りがすごく上手い選手が多いので、自分に合わせてくれるというか、このチームはすごくやりやすい」と手応えを口にした。

 中島も2ゴールという結果で期待に応えた。持ち味の柔軟な仕掛けも健在で、「つまらなかった」という負傷離脱期間の鬱憤を晴らすような好調ぶりを見せつけている。

 手倉森監督も中島の活躍には「本当に試合へ出ていない選手なんだろうか。様子を見たくて先発させました。切れ味もあるし、好調だった」と笑みを見せ、「あとは彼らが連戦に耐えられるくらいのコンディションまで向上させて維持できるかというところについては、こっちが勝手に計算してあげないといけない」と土壇場のメンバー入りに含みをもたせた。

 終盤には鈴木武蔵と松原健もピッチ上で元気な姿を見せ、五輪出場の夢を諦めない姿勢をプレーで表現した。中島や室屋ほどのインパクトはなかったが、彼らも準備はできている。

 南アフリカ戦ではこれまでほとんどU-23日本代表で出場機会のなかった選手たちの“最終選考”の場でもあった。その中で最も印象的なパフォーマンスは植田とセンターバックでコンビを組んだ中谷進之介だ。

 柏レイソルで常時出場を続け、着実に成長している期待の星は「チャンスを待ち続けていた甲斐があった」とあふれんばかりの意欲をプレーに還元して見せた。持ち味の果敢なインターセプトで身体能力の高いアフリカ人と互角に戦えることを示し、「テグさんが言う『託される』存在になれたら」と“3人目のセンターバック”に名乗りを上げている。

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