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EURO2016 8年前

無策の指揮官が招いたEURO惨敗。イングランド代表は国家同様にさまよい、再生は茨の道【東本貢司の眼識】

シリーズ:東本貢司の眼識 text by 東本貢司 photo by Getty Images

不可解なホジソンの交代策。望むべくもない「展開次第」

ルーニー
アイスランド戦はミスが多かったキャプテンのウェイン・ルーニー【写真:Getty Images】

 かくして、“なんとでもなる志向”の働く先は逆転した。アイスランドは勇気百倍、イングランドは「これはまずい」。さて、どうだろうか。4分の先制がそのわずか2分後に帳消しにされ、さらにその12分後に逆転されたその時点で、ホジソンが何らかの手を打っていたとしたら、何かが変わっていた可能性はなかったか。

 身の程知らずは百も承知の上で、筆者はそう確信する。リプレーを見直してみれば一目瞭然、スリーライオンズ・イレヴンはその時点から、哀しくなるほど動揺し焦りまくっていた。

 そう、誰よりも率先してキャプテン、ウェイン・ルーニーが。トラップも乱れ、パスも適格、シャープには程遠い。それに周囲も引きずられるように細かいミスを連発する。ならば、後先考えずに“一息入れる”手立てを講じても決して罰は当たらないはず。

 百歩譲って、ハーフタイムまでじっと我慢の子を決め込んだのだとしよう。そして、ダイアー(前半の彼は確かに“どこにもいなかった”)を引っ込めたのも一応の評価をしよう。だが、それがなぜウィルシャー(だけ)だったのか。ヘンダソンではダメだったのか、あるいは思い切って“底”をルーニーに託し、ララーナを出す、バークリーを試してみる。何よりも、ケインに代えてヴァーディー!

 ホジソンの失敗は、このハーフタイム明けの、不明瞭で不可解で「どうということもない」交代に尽きるのではないだろうか。この期に及んでまだ「展開次第」では、もはや流れを引き戻せるすべなど望むべくもなかった…。

 なぜなら、そこに監督の明快な戦術的意志などどこにも感じられなかったからだ。傍目にも、そしてきっとプレーヤーたちにも。

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