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EURO2016 8年前

C・ロナウドとベイル、“絶対的エース”の明暗。役割の相違から生まれた、ゴール前での違い

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

ラムジー不在によって役割が増えたベイル

 ポルトガルは、まず立ち上がりから前線に人数をかけて攻撃に比重をおくことを選択した。ポルトガルのフィールドプレイヤーがボールを持ってプレーした位置を見てみると、前半45分間は敵陣が半数以上の57.91%となっていた。

 逆にウェールズは自陣で70.69%。ただ、ウェールズはここまで体を張った守備を武器に快進撃を続けているチーム。この状況は決してネガティブなことではない。

 クリスティアーノ・ロナウドは、この前半45分間でシュート2本。ウェールズ守備陣に対して有効な手を打てず、ポルトガルのエースも沈黙していた。

 対するウェールズにも誤算はあった。これまでパスの出し手としてベイルを支えていたラムジーが出場停止。ここまでの戦いでは、5バックが守備ブロックを作り、ベイルのスピードを生かしたカウンターを武器としていたが、この試合ではDFラインとベイルのつなぎ役が不在だった。

 すると、この状況にベイルはラムジーの役割を自らが買って出る。ここまでの5試合ではパスの受け手として、ボールタッチは平均58.2回、パスは平均32.6本だったが、今回はボールタッチ75回、パス45本とどちらも大幅増。その一方で、ドリブル突破の回数は5試合平均4.04回から今回は2回と通常より少ない数となっていた。

 ベイルがボールを持つと、何かが起こる期待感はある。しかし、中盤と前線と2つの役割を務めることとなってしまったこの試合では、その鋭さは失われていた。

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