フットボールチャンネル

EURO2016 8年前

C・ロナウドとベイル、“絶対的エース”の明暗。役割の相違から生まれた、ゴール前での違い

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

大きな違いが見られた最前線でのプレー割合

クリスティアーノ・ロナウド
クリスティアーノ・ロナウドは決勝で敗れたEURO2004の雪辱を果たせるか【写真:Getty Images】

 そして、後半に入ると、まずロナウドの長所が光る。50分に得たCKのチャンスにヘディングで一撃。ここまで大きな存在感を示せてはいなかったが、わずか一度のチャンスを見事に仕留めた。

 その後のポルトガルは、まずは自陣でボールを回して相手を釣り出す方法をとった。後半45分間のプレーエリアを見ると、ポルトガルは自陣で67.66%。点を取りに行かなければならないウェールズは敵陣で51.56%となっていた。

 前半とは逆の構図となったが、3分後にはロナウドのシュートから最後はナニが決めて2点目。ロナウドとベイルの後半のプレーエリアを比較すると、ピッチを3分割したファイルサードではロナウドが36.36%、ベイルが同39.02%だった。

 ところが、さらに6分割してみると、ペナルティエリアでロナウドが13.64%を記録していたのに対して、ベイルはPAさらにその両脇を含めても0%。ウェールズが勝つためにはベイルが決定的な仕事をすることが不可欠だったが、絶対的エースがその力を発揮したのはポルトガルだった。

 ポルトガルの次戦は、ドイツ対フランスの勝者との決勝。ここまで決して順調ではなかったポルトガルだが、もう一方の準決勝が「事実上の決勝戦」と言われた屈辱を晴らし、クリスティアーノ・ロナウドは唯一欠けている代表チームでのタイトルを獲得することができるか。

 どちらが相手でもポルトガルにとってまたも厳しい戦いとなるが、クリスティアーノ・ロナウドという絶対的エースがその力を発揮するかが鍵となる。

(文:海老沢純一)

【了】

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top