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「90分間プレッシングを続けることは不可能ではない」。異端の監督、パコ・ヘメスの気高き魂【超攻撃的フットボールの美学】

シリーズ:超攻撃的フットボールの美学 text by 江間慎一郎 photo by Shinichiro EMA , Getty Images

システムは出発点に過ぎない

レアル・マドリーが相手でも何かを変えることはないという
レアル・マドリーが相手でも何かを変えることはないという【写真:Getty Images】

――あなたの好むフットボールは、選手を選ぶものでもあります。茨の道とは思いませんか?

P どのような道も簡単であるはずがない。ならば程度の差にかかわらず、自分の望む道を選ぶべきなんだ。私は監督としてのキャリアを3部のチームから歩んできたが、その道程は非常に価値ある経験だったと思う。練習で使用できるボールの数が少なく、また土や人工芝のピッチという劣悪な環境で、自分のフットボールをどう実践すべきかを学べた。そのような経験は確実に自分の力となっている。

――美しいフットボールを実現する上で、最も適したシステムはどれであると考えますか?

P 我々は複数のシステムを使用している。頻繁に使っているのは1-4-2-3-1だが、それをベースとして1-4-3-3や1-3-4-3にシステムを変えることもある。複数のシステムを扱えれば、試合中に流れを変えることが可能となり、勝利を収める確率も高まるはずだ。ただシステム、つまり数字の並びに固執し過ぎてもいけない。

 私が好む1-4-2-3-1であっても、ただの出発点に過ぎないんだよ。重要なのはシステムに選手をはめ込むのではなく、相手陣内にどのように攻め込むか、どこでプレッシングを仕掛けるか、どのように試合を終えるかなんだ。

――試合の準備に、どれ程の時間を費やしますか?

P ラージョは相手に合わせて何かを変えることはない。相手がアルメリアでもレアル・マドリーでも同じことだ。もちろん対戦相手のことも頭には入れているが、我々は唯一無二の個性を持ったームであり、自分たちのフットボールを実現することを何より意識しなくてはならない。つまり試合の準備は、我々のフットボールを突き詰めることにある。

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