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日本代表 8年前

【識者の眼】本田圭佑を神格化するなかれ――。クラブでの不遇が代表にも影響、聖域なきポジション争いを

text by 河治良幸 photo by Getty Images

UAE戦からの改善はあった。しかし……

「空振ったので、何でなんかなという感じですけど、そこまで跳ねた記憶もない」と首を捻るが、あそこで追加点が決まっていれば試合運びもそうとう楽になっただけに「攻撃陣が外しても、しっかり勝てたので良かったです。これで負けたら僕のせいになった」と認識している。

「そもそもゴールをこの相手には取らないといけないと僕は思っているんで、アシストも結果も得点絡めなかったのは反省しないといけないところかなと思っています」

 この大事な決定機を外しただけでなく、全体的にパフォーマンスが低調だったのは欧州が開幕したばかりという事情もあるだろう。何より本田の場合は所属のACミランでトリノとの開幕戦、ナポリとの第2節ともにベンチで出番が無く、試合感という部分で明らかに“ディスアドバンテージ”を抱えての代表合流だった。

 UAE戦は清武弘嗣のFKにヘッドで合わせる形で代表戦6試合連続ゴールを決めたが、プレーの正確性やスピードという部分では高いパフォーマンスとは言えない。早い時間帯に記録したゴールに加え、チーム全体の機能不全によって個の質の部分があまりフォーカスされなかった。

 右サイドに張った場合の機動力の問題をしばしば指摘される本田。タイ戦では常にボールを支配していたこともあり、流れの中でゴール前に絡んでいけてはいた。本田の気の利いたポジショニングの修正は非常に効果的で、原口の先制点にしてもペナルティエリア内で相手センターバックを引き付ける本田の動きがなければ、あれほど良い形でフリーになれてはいなかっただろう。

 ただ、ボールに絡むところの問題が出たことは今後に不安をのぞかせる。つまり、このままミランで出場機会の無い状態が続いた時に、代表にどう影響するかということだ。

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