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本田圭佑 8年前

ミラン、苦しみの中で得た1勝。スタメン選手が得た揺るぎない信頼。本田に求められる執念

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

スタメン選手が勝ち取った信頼。本田は再び出番なし

本田圭佑
今季3度目の出番なしとなった本田圭佑【写真:Getty Images】

 ただ、そんな相手にミランが勝ったという結果にも、嘘はないように思われる。「幾つかの局面では相手に完全にやられるなど、苦しい試合となった。しかし、そんな中で誇りと執念を発揮し、気持ちで勝負をものにすることが勝利には必要だ。選手たちは、それを示してくれた」とヴィンチェンツォ・モンテッラ監督は喜んだが、これもまた真に迫っていた。

 ジャンルイジ・ドンナルンマのファインセーブに助けられた場面はあったが、最終ラインは猛攻に耐えた。中盤も粘り、交代で入った選手たちも体を張る。そして、いいところのなかった前線の選手たちも戦い続けてチャンスをうかがった。

 その象徴がスソだ。攻撃面ではなかなかチャンスを作らせてもらえなかったが、懸命に守備に走ってチャンスを待つ。そして後半40分、相手DFのボールコントロールミスを拾って、カルロス・バッカにパスを通したのは彼だ。

 前節はウディネーゼに敗れ、勝利の執念が足りないことをモンテッラ監督は問題にした。しかし彼らは、はるかに大変な相手を前に一発回答を下す。こうなると、スタメンへの信頼は一層揺るぎないものとなるだろう。

 後半11分から本田圭佑はアップを命じられていたが、出番は訪れなかった。スソがダメならということも想定していたのだろうが、その後も粘り強く戦い続けたので下げる理由はなかった。結局スソは決勝点を演出し、その采配は正しかったということになる。

 ポジションを争う方にとって、ライバルの活躍はいいニュースではないかもしれない。その状態からモチベーションを落とさず、プロとしてコンディションを上げ、試合での貢献に向けて備えることができるか。

 主力に要求されているものが勝利への執念なら、定位置奪回を狙う控えにはある意味でそれ以上の執念とプロ意識が必要となる。その点において、本田圭佑は期待を裏切らない人物であるということを信じたい。

(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)

【了】

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