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Jリーグ 8年前

【英国人の視点】福岡と湘南、残留へ厳しい状況も監督を継続させるべき理由

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

スタイルは変えない。チョウ監督が目指すもの

チョウ・キジェ
チョウ・キジェ監督【写真:Getty Images】

 前向きで攻撃的なアプローチを武器として、今季のベルマーレは川崎フロンターレ戦(4-4)やガンバ大阪戦(3-3)、サンフレッチェ広島戦(2-2)で強豪相手に熱戦を演じドローをもぎ取ってきた。

 それでも、秋元陽太(FC東京へ)、遠藤航(浦和へ)、永木亮太(鹿島へ)という結果をもたらすことのできる3人を開幕前に失っていたチームは、J2への再降格を回避できるほどの白星を重ねることはできなかった。

 だがチョウ・キジェ監督は、結果が付いてこない中でも、チームの順位が彼らのスタイルに影響するべきではないと考えている。福岡に敗れた試合の後、こう語っていた。

「私は監督の仕事を始めてからまだ5年目で、J1に残留できたのも一度だけですので、はっきりとした答えを返せるかどうかは分かりません。ですが、個人的には自分がクラブの哲学だと信じるやり方を追い求めること、それを最後まで貫くことが、前を向いて降格を逃れようとするチームの大事な要素だと思います」

「もちろんシステムを変更することもありますが、自分の持っているものにこだわって、本来のDNAに従うべきです。我々にとっては相手よりも走ること、攻撃的なサッカーをすること、ゴールを目指すことがそれです。

 今日も勝ち点3を獲得することはできませんでしたが、今年だけでなく来年も、3年後も、10年後も、最後まで諦めずに続けられるチームこそが、大きなことを成し遂げられると私は固く信じています。私は結果と成長を要求するタイプで、今のこういう状況の中でもやはりそうしたいと思っています」

 チョウ・キジェ監督と井原監督が、今のチームでもう1年、あるいは3年や10年続けていくチャンスを与えられるのかどうかは分からない。だが今季の仕事ぶりを見ていると、それぞれのプロジェクトを結実へともう少し近づける時間が彼らに与えられてほしいと感じられる。

(取材・文:ショーン・キャロル)

【了】

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