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日本代表 8年前

豪州にとってドローは満足だったか。拍子抜けの相手にハリルJが勝ち点2を落とした意味【現地記者の目】

text by 植松久隆 photo by Getty Images

豪州に欠けた両翼。終了間際に揃うもケーヒルにゴールは与えず

ケーヒル
途中出場もゴールはなかったティム・ケーヒル【写真:Getty Images】

 そこから10分少々様子を見て後半25分、満を持してのケーヒル投入。しかし、ここでもフォーメーションは4-4-2のまま。ピッチ上にウィングを張れる選手がクルーズしかいない。

 ケーヒルは、本質的にはセカンドストライカータイプだったのが、決定力のあるFWが不足している事情もあり、その類稀なジャンプ力を生かしてワントップを張ってきた。2トップには向かないクルーズとの組み合わせでは、ケーヒルが生きない。それは筆者でも分かっているくらいだから、ポスタコグルー監督が知らぬはずはない。

 後半37分、全体的に精彩を欠いたムーイを変え、試合後にポスタコグルー監督が「(先発させないのは)少し疲れが残っているようだった。クラブでもずっと試合に出ているし、少し足に違和感もあった」と語ったレッキーがピッチに。この時点でようやくサッカルーズの両翼が羽ばたける態勢が整った。

 トップに張ったケーヒルに残された時間は、アディショナルタイムを入れて約10分。彼が決定的な仕事をやってのけるには充分な時間だったはずだが、スタジアム内の豪州サポーターが期待するあのコーナーフラッグとのボクシングシーンは見られないままに試合終了の笛を聞くことになった。

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