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Jリーグ 7年前

齋藤学のドリブルは何が優れているのか。同僚・対戦相手が感じる凄味。変幻自在の足運びと緩急

2016シーズンのJ1で際立った活躍を見せている齋藤学。以前にもましてドリブルのキレに凄味が出てきており、対戦相手に脅威を与え続けている。横浜F・マリノスのドリブラーは具体的に何が優れているのだろうか。対戦相手、チームメイトの言葉から、その秘訣を紐解く。(取材・文:舩木渉)

text by 舩木渉 photo by Asuka Kudo / Football Channel , Getty Images

齋藤学のドリブルは何が優れているのか

齋藤学
今シーズン絶好調の齋藤学【写真:Getty Images】

 今季の齋藤学は誰にも止められない。それくらいの勢いがある。ブラジルW杯以来、久々に日本代表復帰を果たしたのも納得のパフォーマンスで横浜F・マリノスをけん引している。

 リーグ戦2試合を残して自身初のJ1年間10得点に王手をかけている。しかし、最も危険なのは左サイドから仕掛けるドリブルの突破力だろう。中村俊輔が長期離脱中のチーム内で、齋藤の存在感はすでに大黒柱のそれだ。苦しい時は左サイドに展開し、局面の打開を“ハマのメッシ”の足に委ねる、そんな場面は90分の中で何度も見られる。

 それでは齋藤のドリブルは具体的に何が優れていているのか。スピード? キレ? テクニック? おそらくこんな単語だけでは表現できないだろうと考え、実際にピッチ上での姿を知る選手たちに尋ねてみた。

「齋藤学選手はいったいなぜ、あれほど輝けるのでしょうか?」

 最初に話しを聞いたのは昨年までチームメイトで、今季からガンバ大阪の一員として対戦相手になった藤本淳吾だ。22日の試合では同じサイドでプレーし、齋藤のドリブルを目の当たりにした。そして以前からの変化もよく知っているはずである。

「スピードに乗っている中で、もう一度ギアを上げられるから(マークに)つきづらい。あいつのリズムに持っていかれてしまう」

 たしかに齋藤のドリブルは細かいステップを踏みながら、体を左右に揺らして進んでいき、いきなり「グンッ」とスピードの上がる瞬間がある。フェイントに対応しようと足踏みしていたDFからしてみれば、後退しながら急なスピードアップについていくのは難しい。これが藤本のいう「あいつのリズム」に呑まれるということだろう。

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