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Jリーグ 7年前

磐田、“らしさ”を取り戻した名古屋戦。名波ジュビロの原点。閉塞感を打破したアクション

text by 青木務 photo by Getty Images

プレーの連続性と前への圧力

名古屋戦の後半、右サイドからクロスを何本も上げた太田吉彰
名古屋戦の後半、右サイドからクロスを何本も上げた太田吉彰【写真:Getty Images】

 さらに、ボランチの一人が下がって受けに来た時の周囲の動きも修正されていた。

「春先は、ボランチが落ちてきたらCBが(横に広がるなどして)少し前目に顔を出していた。それでSBがさらに高い位置からカットインすると。この2週間くらいはその連動がなかったから。

 選手たちにも言ったんだけど、CBが少し顔を出してあげないと、SBの位置が低すぎてパワーを持てない。ということは前から行くもクソもないだろうと。(攻撃から守備に切り替わる時に)前にいて、(相手が)近かったら捕まえに行けるでしょうと。楽せずに、やってきたことをそのままやり続けようと」

 ミニキャンプ初日の練習後、名波監督はこのように話していた。ボランチが引いて受ける→CBが位置を変える→SBを押し出す。こうした作業を再び規則的にできるようになったのが、名古屋戦だった。

 指揮官は「後ろに余るな」と常々口にしてきたが、それを選手たちが実践したことでより前方に人数がかかるようになった。プレーの連続性はピッチの至るところで起きており、後半の戦いを後押しした。

 試合の流れが逆転した後半、自分たちのアクションによって磐田は強みを発揮することになる。

 ジェイのゴールは太田の右クロスから生まれたが、その他にもサイドから攻め込むシーンが数多く見られた。

「ボックス内の工夫が足りなかった」と名波監督は話したが、サイドにボールが渡るまでの“作り”が機能していたことの裏返しでもある。クロスを上げるまでの過程に関しては、指揮官も評価している。

「後半は特に、(名古屋の他の選手と)イ・スンヒの間に川辺や松浦が顔を出せるようになって、そこを(相手に)消しに来られたところで、もしくはそれより先に前を向くことができた。そういうものが常にチームの一つのイメージとして生まれていた。あそこを使うという発想が生まれたことでアウトサイドによりスペースができ、有効に使えたんじゃないかなと」

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