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Jリーグ 7年前

磐田、“らしさ”を取り戻した名古屋戦。名波ジュビロの原点。閉塞感を打破したアクション

text by 青木務 photo by Getty Images

名波ジュビロの“らしさ”

 名波監督は試合前、名古屋のキープレーヤーの一人に永井の名を挙げていた。

「競争したら誰も勝てないのは間違いない。だから競争という状況をなるべく作らせないこと。開幕戦でやった時は2回くらい競争されているんだけど、自陣から走らせてしまうと、15m地点では相当トップスピードに乗っていると思うから、大きなスペースの中で走らせないことが大事かなと。具体的なことはあまり言えないけど、大まかに言うならそういうこと」

 果たして、磐田はJ最速の男をほぼ完全に封じ込めた。対峙した山本が間合いを詰めて自由を奪う。スペースを与えない、もしくはそこにボールを出させないようチームは細心の注意を払っていた。何度かフリーランから加速したが、常に磐田の監視下に置かれており、攻撃時にその“足”を最大限活かす機会はなかった。

 この日の磐田はサポートの意識を高く持ち、距離感も保たれていた。「(試合の)スタートからやっていければ」(太田)ベストなのは間違いないが、攻守で相手を上回ることができた後半の内容は収穫だろう。

 ここ最近の試合は内容、結果ともに受け入れがたいものばかりだった。名古屋戦も勝ち点3を手にすることはできず、「勝ち越したかったなというのが正直な感想」と松浦は話した。とはいえ、受身の戦い方ではなく、持ち味であるアクションサッカーを披露することもできた。上積みは間違いなくあった。

 春先にやっていたサッカーをもう一度――。『名波ジュビロ』らしさを表現できたのだから、1ポイントしか得られなかったとしてもネガティブに考える必要もない。

 前向きなドローを経験したサックスブルーはオフ明けの25日から、浦和戦に向けて再び始動する。

(取材・文:青木務)

【了】

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