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Jリーグ 7年前

名波ジュビロ、最終節で勝ち取ったJ1残留。2人の “秘蔵っ子”がもたらした安定性と流動性

text by 青木務 photo by Getty Images

最後の最後で最低限の目標はクリア

「抜群に上手くてキープもできるし、パスも出せてシュートも打てる。タクさんに入る前に奪いたいのと、タクさんに持たれた時にいかにプレスに行けるか。あと、周りの相手選手を捕まえることも重要。一人ひとり、声を掛け合いながら、右を切るのか左を切るのか、遅らせるのか。そういうところを細かく指示を出してやっていければ防げるかなと」

 鹿島アントラーズ時代にその天才性を目の当たりにしていた宮崎も、仙台のファンタジスタに仕事をさせないことをポイントの一つに挙げていた。磐田は狙い通りの試合運びで、野沢を前半のみでベンチに退かせた。

 優勢、劣勢時のプランを事前に立てても、今シーズンの磐田はその想定を超えられてしまうことが多かった。しかし、リーグ最終節にしてようやく自らの意図でゲームをコントロールし、勝利に結びつけることができた。

 これをもって、磐田に巣食う課題が消え去ったとは言わないが、ポジティブな面を残して今シーズンを終えられたことは成果としては悪くないはずだ。

 年間順位は13位。2ndステージは特に不安定な試合が多かったが、締めくくりの一戦では評価に値する戦いを披露。現実的な目標であるJ1残留というミッションを最後の最後でクリアしたサックスブルーは、安堵感に包まれながらユアテックスタジアムを後にした。

(取材・文:青木務)

【了】

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