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Jリーグ 7年前

名波ジュビロ、最終節で勝ち取ったJ1残留。2人の “秘蔵っ子”がもたらした安定性と流動性

text by 青木務 photo by Getty Images

紅白戦とは異なるスタメン

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仙台戦に臨んだジュビロ磐田のスターティングイレブン。

「もう少し守備的なメンバーで紅白戦にトライしたが、そこが上手くいく、行かないというよりも、最終的には前向きにサッカーをやるためのメンバーを選ぼうということで決断した。それが結果的には功を奏したと思う」

 試合後、名波監督が振り返ったように、2日前と当日とでは陣容に若干の変更があった。件の紅白戦、主力組の11人は以下のメンバーだった。

 GKはカミンスキー。左から森下、大井健太郎、藤田義明、山本康裕の4バック。中盤の底は宮崎と上田康太がコンビを組み、2列目は松浦拓弥、川辺駿、太田吉彰。1トップをジェイが務めた。仙台戦の実際のスタメンとは若干違うことがわかる。

 その日の練習を見る限り、アダイウトンがどこかを負傷した様子はない。それまでリーグ戦全試合にスタメン出場していた彼が主力組にいないことには、多少の驚きがあった。だが、ブラジル人アタッカーがベンチに控えていることは相手にとっても厄介なはずで、90分トータルして考えればそうした選択も十分に考えられるものだった。

 しかし、アダイウトンはスタメンに名を連ねた。宮崎をDFラインに組み込んだことで、ボランチから前は攻撃に持ち味のある選手が並ぶことになった。サイドの守備における安定を宮崎が担保しつつ、個性的な面々でゴールへと迫った。

 結果的に、奪った得点は上田の極上FKによる1点のみだった。ストライカーのジェイはシュート1本に終わっている。それでも、相手ゴールを脅かすシーンも作れており、指揮官の決断はいい方向に転んだといえるだろう。

 そんな試合で、スタメン出場を果たしたのが松浦だった。決戦に向けた紅白戦でも主力組でプレーしていた小柄なアタッカーは、仙台戦に向けてこう語っている。

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