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チェルシー、3バック導入で“確変”。16得点0失点で5連勝。コンテ式の新戦術が生んだ“相乗効果”

チェルシーは現地時間5日、プレミアリーグ第5節のエバートン戦を5-0で圧勝した。今季序盤は4バックを採用していたアントニオ・コンテ監督だが、シーズン途中から3バックを導入。その後は16得点無失点で5連勝を収めている。昨季は大きな不振に陥ったチェルシーだが、コンテ監督の新戦術によって今のチームは“確変”状態にある(取材・文:山中忍【ロンドン】)

text by 山中忍 photo by Getty Images

3バック導入で16得点無失点。コンテ監督、解任報道から5連勝

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3バックを導入したチェルシーのアントニオ・コンテ監督【写真:Getty Images】

 基本システム変更を境に、計5失点でのプレミアリーグ2連敗から無失点での5連勝へ。しかも、その5試合で計16得点。3-4-3で戦うようになったチェルシーは、10位に終わった昨季低迷の余韻をついに断ち切り、プレミアでは異例の3バックで戦うアントニオ・コンテのチームとして、本格的に進撃を開始した。

 11月5日の11節でホームに迎えた相手はエバートン。ロナルド・クーマン新体制下の今季は既にマンチェスター・シティからも1ポイントを奪い、優勝争い参戦を予想する声も出始めていたチームだ。そのエバートンが、前節まで失点数をリーグ最少2番手に抑えていた4バックを3バックに変えてマッチアップを図った。新システムが機能していると認められている証拠だ。

 その上でチェルシーは、敵を5バック状態で後方に釘付けにした前半20分間で2点をリードし、エバートンが4バックに戻った後にも3点を追加。スタンフォード・ブリッジ界隈の商売熱心なバッタ屋が、5戦5勝を称える“FIVE IN FIVE”と胸にプリントされたTシャツを作って売り出すのではないかと思えるほど、圧倒的で印象的なチームパフォーマンスだった。

 当日、『BTスポーツ』で試合解説を務めたオーウェン・ハーグリーブズは、マン・オブ・ザ・マッチ選出に際して真剣に「チーム全員を選ぶことは許されないのか?」と言っていたが、システム変更を決断した新監督も対象に加えたいところだ。

 コンテにすれば、解雇の噂さえ流れる中で強いられた決断ではあった。開幕3連勝後、先制していながらスウォンジーと引き分け、ホームで前半のうちにリバプールに2得点を許し、アウェイでアーセナルにいいようにやられた9月後半のことだった。

 4バックの要となるジョン・テリーは故障中。やはりベテランのブラニスラフ・イバノビッチは右SBで脚力の衰えを露呈するようになり、CBのガリー・ケイヒルは以前から統率力が足りない。結果として生じていた最終ラインの隙間は、新ボランチとして獲得されたエンゴロ・カンテの運動量を以ってしてもカバーしきれなかった。

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