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チェルシー、3バック導入で“確変”。16得点0失点で5連勝。コンテ式の新戦術が生んだ“相乗効果”

text by 山中忍 photo by Getty Images

新布陣で機能した選手たち

アロンソ モーゼス
ウイングバックのポジションを務めるマルコス・アロンソ(左)とビクター・モーゼス(右)【写真:Getty Images】

 そこで当時、冗談ながら「クラブハウスにベッドが欲しい」と言うほど残業を繰り返して頭を悩ませていたコンテは、プレシーズン中には4-2-4に取り組み、開幕後は4-2-3-1と4-1-4-1を織り交ぜていたシステムを、曰く「ハイラインでコンパクトに守るため」に3-4-3へと変えた。

 もっとも、コンテにすれば母国イタリアで採用実績のある3バックだけに、変更に踏み切る以前から意識はしていたのだろう。今夏の補強にしても、純粋な守備力には不安があるダビド・ルイスの買い戻しは、若くはならないテリーの他にも、3バックの中央で使える「足元」を持つCBが持ち駒に加わる点が最大のメリットと思われた。

 識者間で「プレミア級の実力」が疑問視されていた新左SBのマルコス・アロンソはウイングバック経験者。実際、プレミア・デビューを果たしたアーセナル戦後半では、攻守に存在感が希薄だったセスク・ファブレガスとアロンソの交代と同時に3バックへと陣形を変え、既に勝敗の行方は見えてはいたが戦況にも変化が見られた。そして、続く7節ハル戦(2-0)からの基本化に至っている。

 もちろん、変更に踏み切らせた選手たちの適応ぶりも評価に値する。特にコンテに「判断は正しかったと証明してくれた」と感謝された、アロンソとビクター・モーゼスの両ウイングバック担当。相手ボール時には5-4-1となるシステムの機能は、ウイングバックのハードワーク無くして有り得ない。チェルシーの両名が「ノンストップ」で攻守に働いている事実は、エバートン戦での一場面を見れば一目瞭然だ。スコアは自軍の5-0。時間はフルタイム1分前。それでも足を止めないアロンソが左サイドから持って上がって始まった攻撃は、逆サイドでモーゼスの放ったシュートが相手GKのセーブを呼んで締め括られたのだった。

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