フットボールチャンネル

チェルシー、3バック導入で“確変”。16得点0失点で5連勝。コンテ式の新戦術が生んだ“相乗効果”

text by 山中忍 photo by Getty Images

3バック導入でアザールにもたらされた「自由」

アザール
5連勝の中で5ゴール1アシストを記録するエデン・アザール【写真:Getty Images】

 本職はウインガーのモーゼスが、移籍5年目にして訪れた定位置獲得の初チャンスをハングリー精神を剥き出しにして掴んだことから、本来は右SBのセサル・アスピリクエタを、攻撃力不足のウイングバックとしてではなく、守備に専念する3バックの右サイド要員として起用することもできている。

 控えに回るイバノビッチのようなフィジカルはないが、高い集中力とイバノビッチをはるかに凌ぐ機動力を発揮して仕事をこなしている。中央のルイスも、アスピリクエタとケイヒルという「守備の人」に挟まれている新環境で安心してプレーしているように見受けられる。

 但し、システム変更に伴う最大の相乗効果は、エデン・アザールが旧システムの2列目左アウトサイドから解放されたことだ。以前は中央に流れたがる嗜好性が守備面でマイナスになるとされていたが、新システムでは、アウトサイドはアロンソ、左インサイドでもマティッチが、攻守が入れ替わった際のチェイシングやプレッシングを引き受けてくれる。

 本人も、約1ヶ月半ぶりにゴールを決めた8節レスター戦(3-0)後に「自由を感じる」とコメントしていたが、攻撃面での「自由」は、チェルシー移籍3年目に背番号を17番から10番に変えてもいるアザールが求め続けていたものでもあった。

 5連勝の中で自らも5ゴール1アシストのアザールは、エバートン戦でもスタート位置こそジエゴ・コスタの左横だが、実際には縦横無尽の動きを見せた。前述のハーグリーブズが「1人だけと言うのなら」と言ってアザールを選んだように、2ゴールのアザールが1ゴール2アシストのペドロさえも凌ぐインパクトを見せたと言える。

 ペドロがバックヒールで絡んだチーム4点目にしても、最も目を見張らされたのは、右サイドでペドロにボールを叩く前後にアザールが見せた緩急と、ボックス内に切り込んでGKに構える暇も与えずに打ったアザールの左足シュートだった。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top