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レアルは“サッカーを放棄”するか? アトレティコのプランBは? ダービーを悩ますCL決勝の記憶【注目試合プレビュー】

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

守備の要の不在。レアルの選択は?

ジネディーヌ・ジダン
ジネディーヌ・ジダン監督【写真:Getty Images】

 一方で、マドリーは昨季のCL決勝でアトレティコのプレッシングを封じることに成功している。開始14分という早い時間帯で先制点を手にしたことで、その後は一気に引くことが可能となる偶発的な展開とも言えるが、大一番での経験はジダン監督も思い起こしているはずだ。

 今回の対戦では、試合開始からマドリーが引いてくることも考えられる。その場合、マドリーが得点を奪うチャンスは大きく減るが、リーグ首位の状況でアウェイでのダービーを勝ち点1で終えても大きな痛手とはならない。

 両チームの陣容を見てみると、不安が大きいのはマドリーか。負傷により10月を欠場したルカ・モドリッチは復帰したものの、その穴を埋めていたコバチッチが負傷。ダービーの欠場が報じられている。

 さらに、中盤の守備において重要な存在となるカゼミーロも負傷離脱中。中盤の3人はクロース、モドリッチ、イスコとなることが予想されるが、アトレティコのような強力なチームを相手にすると、守備の強度に不安が残る。

 逆の発想をすれば、「中盤の守備力に不安があるなら全体で守ってしまおう」と考えても不思議ではない。一部からは“サッカーを放棄する戦い”とも揶揄される戦略だが、結果を重視するならば最も効果の高い戦略となるはずだ。

 ただ、90分間引いて戦った上で勝ち点1となれば、マドリーのファンやメディアがまた騒ぎ出すかもしれない。その圧に屈してボールを持とうとすれば、たちまちアトレティコのプレッシングの餌食となる。ジダン監督にとっては悩ましい問題だろう。

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