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Jリーグ 7年前

磐田の残留決めた“背番号7”の左足。上田康太、悔しさと葛藤乗り越え叩き込んだ超絶FK

text by 青木務 photo by Getty Images

「今季は反省の方が大きい1年だった」(上田康太)

名波浩監督(左)からの指示に耳を傾ける上田康太(右)
名波浩監督(左)からの指示に耳を傾ける上田康太(右)【写真:Getty Images】

 シーズンを通して、焦燥はあった。キャプテンとして何ができるか、何をすべきかを考え続けたことだろう。それでもあのFKの場面、上田は落ち着いていた。チーム屈指の精度を誇る左足のキックは、自力残留がかかる重要な一戦で輝きを放った。

 チームには今季、いくつかアクシデントが起こっている。そうした苦境を力に変え、残留を勝ち取ったとも言える。

「問題が発生したりしても、みんなで明るくやれていたと思う。残留争いに入ってからもどんよりすることもなかった。雰囲気はすごく良かったと思う」

 声を荒げるようなタイプではない。どちらかと言えば、背中やプレーで語る選手だ。「僕はいつも通りに。怒鳴ったりできない分、日々のコミュニケーションは意識していた」というように、色々な選手に話しかけ、一緒にランニングをしたり、時には食事に出かけたりと、細やかな気配りを見せていた。

 視線はすでに未来へと向けられている。そして、現状に満足できない上田の姿がある。

「やっぱり、今季は反省の方が大きい1年だった。最後の終わり方は良かったかもしれないけど、また新たなスタートを切ったらそれも関係なくなる。体もイチから作らなきゃいけないし、メンバーも変わるだろうし。もっと激しい競争が起こると思うので、また気持ちを入れ直して、強い気持ちを持って新シーズンに臨みたい」

 自身が納得していないように、チームとしてもさらなる活躍を求めているはず。J2とはいえ、昨シーズンの貢献度を考えれば、J1復帰初年度も主力としてフル稼働することが望ましかったのは間違いない。

「もっともっと」。そう言い続ける上田康太が今シーズン以上のパフォーマンスを見せた時、ジュビロ磐田のJ1における存在感は自ずと上がっていくことだろう。

(取材・文:青木務)

【了】

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