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ペップが選手に課す「鉄の掟」。ガチガチの“管理主義”は英国風土に適しているのか?【東本貢司の眼識】

シリーズ:東本貢司の眼識 text by 東本貢司 photo by Getty Images

ルーニー泥酔事件とナスリが“告発”した禁止令

ナスリ
グアルディオラ監督の禁止令を“告発”したサミル・ナスリ【写真:Getty Images】

 例えば、つい最近の「ルーニー、泥酔の上の醜態」事件に関して、リヴァプールの将、ユルゲン・クロップは何とのたまったか。「騒ぐほどのことか。この国(UK)にはそういう精神文化的伝統がある。かつてのレジェンドたちは酒もタバコもやり放題だったじゃないか。自己責任、ってやつじゃないのかね」

 つまり、ルーニー批判は、その後の彼(の振る舞い、プレーぶり)を見てから、必要に応じて始めればいいという理屈だ。

 絶対王者バイエルンとほぼ互角に渡り合ってみせたクロップがそう言うのである。ちなみにモウリーニョは、ルーニー本人には触れずに“醜態”を止められなかったFA職員ら「取り巻き」に非難の鉾を向けるという、姑息な“はなれわざ”で事態を収めようとした。ペップからの関連コメントは今のところ無い。

 しかし…。

 これまでジョゼップ・グアルディオラのチーム操縦術にはとんと明るくなかった筆者だが、折しも降って湧いたような「セヴィージャ発」の指摘から、その一端が見えてきた。ペップに厄介払いされた格好のサミル・ナスリが、なぜかこのタイミングで“愚痴”を公にしたのである。「ペップはセックス禁止令を出した。体力を万全に保つために、とさ」

 さて、事実なのかどうか。数日後、グアルディオラはナスリの“告発”を「そんなことを言った覚えはない」と全面否定したが、その通りに「事実無根」なら、ナスリは相当に節度を欠いたほら吹きということになる。いくらヴェンゲルも匙を投げた問題児でも、そこまでの暴言に走ったりするものだろうか。

 いずれにせよ、この「ナスリ告発」から、グアルディオラによる「あれをするな、これもするな」の、がんじがらめ的プレーヤー統制志向が(現地報道筋によると)浮かび上がってきたのだ。すなわち、冒頭でも触れた「表向きは話のわかる兄貴分、しかしてその実体はガチガチの(ヴェンゲル顔負けの?)管理主義者」――。

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