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Jリーグ 7年前

名波ジュビロ、指揮官がMVPに挙げた大井健太郎。古巣復帰初年度、守備の要が示した存在感

text by 青木務 photo by Getty Images

2ndステージで失速した要因

 名波監督からチームのMVPに選出された大井だが、「これだけ多く試合に使ってもらったということは信頼されているということだと思う」としつつも、「全試合出られなかったのはチームに迷惑をかけてしまった」と反省を口にした。

 今シーズンの戦いについてはどう見ているのか。1stステージは8位という好成績で終えたが、2ndステージはわずか2勝と目に見えて失速している。

「前半戦で勝ち点を取れたのはラッキーだったかもしれないけど、それが自分たちの実力だと勘違いして、試合で100%出していれば勝っていたり、勝ち点を取れていたところが、90%になり80%になってしまった。それが後半戦勝てなかった要因」

 大井の言葉通り、ポイントをみすみす取り損ねる試合もあった。J1に慣れることでチームは経験値を手にしていったが、それがマイナスの方向に作用した面もあったのかもしれない。

「力を出しているつもりでいても、最初は“初めてのJ1”だというイメージでみんなやっていたから、100%が自然と105%になったゲームもあったと思う。それが勝ち点に繋がっていた。1st、2ndと分かれるシーズンだったから、その中でみんなが『半分終わった、勝ち点20以上取れた』というところでどこかしら安心感があったと思う。今まで通りやっているつもりが勝てなくなってきて、悪循環になってしまったなと」

 最低限の目標を達成できたことを考えれば、高いレッスン料を支払うことにはなったが、教訓にはなったはずだ。名波監督は引き続きチームを率いるため、来シーズンは再び勝ち点40以上へのチャレンジとなる。

「監督がそのまま継続ということは、やろうとするサッカーは変わらない。選手の入れ替わりもある世界だけど、作り上げていくものはゼロからではない。今年よりいい順位で終われるよう準備していきたい」

 2017年、サックスブルーが躍進するためにも、大井にも今シーズン以上の働きが求められる。

(取材・文:青木務)

【了】

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