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ペップはコンテに「完敗」だったか? チェルシーのマンC撃破が今季のプレミアにもたらすこと

text by 山中忍 photo by Getty Images

3バックを採用したペップの判断は間違いだったか?

ニコラス・オタメンディ
2つの失点に絡んでしまったニコラス・オタメンディ【写真:Getty Images】

 対戦前のメディアで、チェルシーに合わせて3バックを採用すれば墓穴を掘る危険性があると警告されてはいた。前月の11節、基本の4バックを捨ててマッチアップを図ったエバートンが、大量5失点の返り討ちにあっている事実は、シティの指揮官も認識していたはずだ。

 それでも敢えて採用した判断は、良い意味でグアルディオラらしい。チェルシーの機能を止めることを狙ったエバートンに対し、シティの3バック採用はチェルシーを攻めるためのマッチアップだった。

 急造ウィングバックのヘスス・ナバスとレロイ・サネの本職はウィンガー。後方への注意不足を立ち上がりから垣間見せてはいた。しかし、指揮官が意図した攻撃面での効果は十二分に見られた。

 ケイヒルのオウンゴールを呼んだのはナバスのクロス。パニックに陥ったとしか思えないCBのクリアミスは、ボールを支配していたシティが、繰り返しアウトサイドからチャンスを窺っていたプレシャーが招いたとも言える。後半早々にも、サネがケビン・デ・ブライネとアグエロにチャンスを提供し、ナバスはデ・ブライネが至近距離からバーに当てた決定機を演出した。

 グアルディオラの「落度」を問うメディアでは、3バック採用で右SBのサポートを失ったニコラス・オタメンディが、右CBとしての頼りなさを露呈したとも指摘されている。たしかにオタメンディは、60分にジエゴ・コスタに力で抑えられて同点のシュートを打たれた。その10分後にも、簡単にコスタにかわされてウィリアンの逆転ゴールをアシストされた。

 しかし、オタメンディが前半17分にコスタと競った場面で酷なイエローをもらっていなかったら、シティCBは退場を意味する2枚目を恐れることなく、チェルシーCFとのバトルに没頭できたのではないだろうか?

 攻めのポリシーを貫いたグアルディオラの3バック選択は間違いではなかった。「パフォーマンスは良かった。チャンスに決められなかっただけのことだ」という試合後の発言は、負け惜しみではなく真実だ。

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