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リーグアンに地殻変動? PSGの先を行く南仏勢。バロテッリ在籍のニースが首位君臨

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

前任者の遺産を活かしているファブレ監督

今季からニースでプレーしているマリオ・バロテッリ
今季からニースでプレーしているマリオ・バロテッリ【写真:Getty Images】

 前述のモンペリエ戦では、ルドゴレツ戦に向けて戦力を温存する意味もあり、中盤にクリホビアク、ヌクンク、マテュイディという馴染みのないトリオを起用したが、結果は散々だった。それを昨季までの慣れ親しんだ布陣に戻すと、とたんに自信を取り戻して力が発揮できる。

 しかしそれでは昨季以上の進歩はない。エメリはチームを進化させるために試行錯誤しているが、当然すぐに結果は出ない。しかしカタールのお偉方は悠長に時間を与えてはくれない。ジレンマとの戦いだ。

 首位ニースとの勝ち点4差を縮められなかったPSGの挽回が厳しい今、『秋のチャンピオン』は、首位をキープしたニースと、勝ち点1差で追うモナコの争いとなる。

 ただ、仮にその座を逃したとしても、今季のニースの躍進は見事だ。

 バロテッリを除いては世界的に名の知れた選手はほとんどおらず若手が中心。昨季4位という好成績の流れを引き継いでいるとはいえ、この日の先発イレブンで、昨季もコンスタントに出場していたのは3人しかない。

 そのうちの一人、ポルトガル人DFリカルドは成功の理由について、PSG戦の後こう話した。

「去年のいい波を継続していることが大きい。そのためにファブレ監督は、前任者であるプエル監督のやり方を、あえて引き継いでいるように思う。着任したあとも、大きな変化を加えようとはしなかった。そして若手をどんどん起用しているから、チームに活気があるんだ」

 ドイツのライプツィヒも成功している若手作戦は、ここでも活きている。さらに要所にダンテ、ベルアンダといったベテランを配してバランスをとっているところもポイントのひとつだ。

 前半戦の残り2試合、ニースはディジョンとボルドー、モナコはリヨンとカーンと対戦する。今季のリーグ1は、南仏コートダジュールが熱い。

(取材・文:小川由紀子【パリ】)

【了】

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