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レアル、難敵ナポリ相手に見せた勇敢さ。ハメス起用で攻撃は多彩に。これぞ正真正銘のCL【E・オルテゴの戦術眼】

シリーズ:E・オルテゴの戦術眼 text by エンリケ・オルテゴ photo by Getty Images

決して平凡ではなかったナポリのパフォーマンス

レアル・マドリーはサイドバックが高い位置を取るなど、勇敢なパフォーマンスを披露した。
レアル・マドリーはサイドバックが高い位置を取るなど、勇敢なパフォーマンスを披露した。

 中軸にカゼミーロ、モドリッチ&クロースが両脇を固めるいつもの中盤に戻したマドリーだが、攻守の安定はこれ以上ないほど取れていた。広範囲をカバーするこの3選手は、前でプレスを仕掛ける、5~6選手で攻めてくる相手に後退して守勢に回るという判断をじつに見事に下していた。

 実際、マドリーが失点後に見せたリアクションは彼らが土台となっていた。まずモドリッチはボールを配って回る責任を背負い、あらゆる場所に顔を出している。常に最善のパスコースを選び出し、また荒々しくまとわりつくマレク・ハムシクとの個人間の争いにも決して怯みはしなかった。そしてクロースとカゼミーロは徐々にその存在感を増していき、得点までも記録。両者のゴールは負けず劣らず素晴らしく、美麗なものだった。

 ナポリは先制した後にも、ためらうことなく攻撃を仕掛け続けた。サン・パオロで行われるセカンドレグでも、この日見せたプレーを貫くことを疑う者などいない。マウリツィオ・サッリに率いられる彼らは、ほかの術など持たないのだから。

 ナポリがサンティアゴ・ベルナベウという舞台で披露したパフォーマンスは、勇敢そのものだった。ハーフウェーラインの近くに位置する最終ライン、ウィングの役割も兼任する両サイドバック、高い位置からのプレッシング、相手陣地のスペースを埋める意思……。先制点の場面ほか、長いパス回しによって試合をコントロールするなど、ボールを使ったプレーは極めて質が高い。

 ただし、マドリーがリアクションを見せた際にもナポリの攻撃に出る考えは揺らがず、不明瞭なプレーが相手の決定機を導いていたことも確かだ。翻ってジダンのチームは、攻撃を貫徹することによって、カウンターを食らう機会を減らすよう努めていた。

(文:エンリケ・オルテゴ【スペイン/マルカ】、翻訳・構成:江間慎一郎)

【了】

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