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Jリーグ 7年前

磐田、開幕戦で見えた現在地。自信深めた守備と構築途上の攻撃。無失点で上々のスタート

text by 青木務 photo by Getty Images

最前線で孤立してしまった1トップ川又堅碁

ジュビロ磐田の川又堅碁(中央)。前線で孤立し狙い打ちされるシーンが目立った
ジュビロ磐田の川又堅碁(中央)。前線で孤立し狙い打ちされるシーンが目立った【写真:Getty Images】

 開幕戦に話を戻す。

 低い位置まで頻繁に降りてくる中村俊輔の動きに合わせて、ボランチが前に入ることも必要だったが、前半は川又を孤立させる結果となった。後半に入ると、名波浩監督の指示を受けた川辺駿が高い位置を取るようになったが、「もっと早く自分がやるべきだった」と反省を口にした。

 もっとも、“無風状態”が続いた前半にもゴールへ迫る機会はあった。41分、川辺がスルスルと前に出るとドリブルで持ち込み、PA内の川又にパス。フィニッシュには至らなかったが、1トップの下のスペースを活用し、相手ボランチの背後をうまく取ったことで川辺は持ち前の推進力を出した。

 C大阪が前から奪いに来なかったにもかかわらず、磐田はポゼッション時に中盤の底に3人が並ぶような時間帯があった。それによって川又との距離も開いてしまい、セカンドボールも回収できない。川辺と中村俊輔のポジションチェンジはさらに柔軟に行えるようにすべきだが、先述の41分のシーンや後半は、川辺の積極性がよく発揮されていた。ゴールを予感させるようなチャンスは皆無だが、敵陣深くに複数の選手が進入しようという意思は見られた。

『相手ゴール前でのスリリングな場面を多く作る』

 今シーズンのテーマのひとつだが、その点に関しては満足のできる内容ではない。だが、それは織り込み済みだろう。開幕戦から全てが上手くいくはずはない。川又は味方と呼吸が合ってこそ力を発揮するストライカーだが、試合後にはこう述べている。

「シュートまでのシーンは、キャンプから続けてきた中で一番少なかった。自分自身、ゴールに向いてのプレーがあまりなかった」

 彼が最前線で孤立してしまってはネットを揺らすことはできない。チームとしてもっとチャレンジする必要があるだろう。“チームで挙げる得点”をいかに増やすか。昨シーズン以上の結果を掴むためには避けて通れない課題である。

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