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Jリーグ 7年前

カズ、50歳の誕生日に見せた新しいプレースタイル。撮影時の位置取りから感じた変貌【カメラマンの視点】

シリーズ:カメラマンの視点 text by 松岡健三郎 photo by Kenzaburo Matsuoka

今季の位置取りなら50歳FWの得点は時間の問題か

 試合開始からJ1昇格候補の松本山雅が攻め込み、なかなか横浜FCはチャンスを作れていなかった。だが16分に25歳の野村直輝がゴールを決めて、横浜FCが先制。ゴールを決めた野村はバックスタンド側のサポーター席前まで来て喜びを爆発させた。もちろんカズも一緒に。

 メインスタンド側にポジションを取っていたら、人が多くサポーターの前まで走って行くことはできなかった。バックスタンド側にいた私は、すぐに立ち上がり、選手の前へ駆け寄り、カズの素敵な笑顔を収めることに成功した。

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25歳の野村直輝のゴールを50歳のカズも一緒に喜ぶ【写真:松岡健三郎】

「試合の日がたまたま誕生日だった。試合に勝ちたいとしか思っていなかった。ピッチに立って、相手と試合ができる喜びを感じた。改めて60歳までやりたいなと思った」

 カズゴールこそなかったが、仲間のゴール、そして勝利を喜んだ。

 選手の多くは「お客さんがたくさん入っているのといないのではプレーのテンションが全然違いますよ」と言う。この日、大入袋が配られるくらいの満員となったニッパツ三ツ沢球技場。この雰囲気の中プレーした今日の横浜FCは昨年までとは違う、テンションの高い戦う姿勢が撮影していても伝わってきた。相手が昇格候補であろうと受け身にならず、ゴールをめざした。

「見ている人たちの心を打つサッカーをしていけば、お客さんは集まる。そのためには、質の高いサッカー、気持ちの入ったサッカーをやらないと。こういう雰囲気の中で試合をすることで、クラブは成長していく。僕ら選手が、頑張るしかないですよね」

 50歳FWが頑張る姿勢を見せれば、自然と皆がついてくる。この試合のテンションが続けば、今年のカズのポジションなら50歳でのゴールを記録して、世界を驚かせるのも時間の問題であろう。

(写真・文:松岡健三郎)

【了】

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