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ルーニー、「妥当」な代表落選。ロシア行きも困難に。母国でも“元至宝”再招集の声は聞こえず

今月16日に発表されたイングランド代表メンバーの中に、主将を務めるウェイン・ルーニーの名前はなかった。コンディション不良を除く代表落選は、代表デビューしてから初めてのことである。だが、イングランド国内ではルーニーの落選は「妥当」とみられている。ルーニーがプレーするポジションにはクラブや代表で結果を残している選手がいるだけに、イングランド国内では“元至宝”の再招集を望む声は聞こえてこない。(取材・文:山中忍【ロンドン】)

text by 山中忍 photo by Getty Images

“初体験”となった代表落選。ルーニー不要となったイングランド

ルーニー
イングランド代表に招集されなかったウェイン・ルーニー【写真:Getty Images】

 3月23日付け『ガーディアン』紙にあった「ウェイン・フー?」の見出し。それも、ドイツとの親善試合レポートを補足する囲み記事の小さな見出しだ。「そんな選手いたか?」と言うかのようなこの見出しが、ウェイン・ルーニーに関するイングランド代表での立ち位置と母国民の見方を物語る。

 31歳の代表キャプテンは、前夜の試合で招集メンバー自体から漏れていた。イングランドは数度のチャンスを逃して惜敗(0-1)。かといって、これまでに出場した119試合で53得点を代表にもたらしている、過去10年来の主要得点源の不在を嘆く声はなし。それどころか、国内メディアでは「ルーニー後」の夜明けが前向きに報じられた。

 代表落ちそのものは大々的に伝えられた。3月後半の国際マッチ週間を前に、ガレス・サウスゲート新監督がメンバーを発表した時点では、「『ルーニー不要』と、サウスゲート」との見出しを打った『ミラー』紙をはじめ、指揮官の判断が「容赦なし」と表現された。出場可能なコンディションにもかかわらずの落選は、2003年に始まった代表キャリアで初体験である点も指摘された。

 但し、それらの報道に同情的なトーンは感じられなかった。キャプテン指名を受けた2年半前からはメディア対応にも責任感を増したイングランドの「元至宝」には、母国人記者の中に「味方」も多い。だが、その彼らも援護射撃のしようがないといった状態だろう。

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