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アトレティコとレスターが示した新たな指針。パス成功率70%も…勝利を引き寄せる「真の巧さ」

チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝2ndレグが行われ、アトレティコ・マドリーがレスターを相手に2試合合計2-1で勝利を収めた。4-4-2のシステムやプレッシングなど共通点の多いこの2チームの対戦は、技術的な「上手さ」ではなく、戦術の「巧さ」が詰まっていた。(文:海老沢純一)

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

岡崎は先発。従来通りの戦い方を選択したレスター

 共通点が多い2チームの対戦となったレスターvsアトレティコの一戦
共通点が多い2チームの対戦となったレスターvsアトレティコの一戦【写真:Getty Images】

 一般的に、パス成功率が高く、数多くチャンスを作り出すチームが“上手い”チームとされる。ボールを持つこと、ボールをつなぐことが多くのチームの理想とされてきた。しかし、これから先ではその価値観が薄らいでいくのかもしれない。

 2015/16シーズン、アトレティコ・マドリーは“上手いチーム”の最高峰とも言えるバルセロナとバイエルンを破り、CL決勝に進出。イングランドでは、残留が目標とみられていたレスターが“奇跡”と言われるリーグ優勝を遂げた。

 一部では、「アンダードッグの躍進」と言われることもあったこの2チームだが、2016/17シーズンのCLベスト8という舞台で相見えることとなった。

 1stレグでは、アトレティコがホームで1-0の勝利という結果を手にした。とはいえ、最少失点で終えたことは2ndレグをホームで戦うレスターに十分な希望を残した。

 4-4-2からの強力なプレッシングなど、類似点の多いこの2チームだが、1stレグではアトレティコがビルドアップの方法を変え、レスターは後半からFWの岡崎に変えて中盤のアンディ・キングを入れて4-1-4-1に布陣を変更するなど互いに“プランB”で競り合った。

 2ndレグでは、どのような形でスタートするのかが焦点となったが、レスターのシェイクスピア監督は再び岡崎を先発に据えて、従来通りの戦い方を選択した。

 対するアトレティコは、1点のリードを得ていることからも守備力を高めるために本来センターバックのヒメネスを中盤に起用。さらにカウンターのスピードアップを狙って主にはサイドハーフで起用するカラスコをグリーズマンと共に2トップに据えた。

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