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セリエA 7年前

インザーギとガットゥーゾは今も現場で戦う。下積み修行中の“レジェンド監督”、泥臭さも健在

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

インザーギは“3部リーグマニア”? 意外な情報網に首脳陣も驚愕

インザーギ
現役時代のフィリッポ・インザーギ【写真:Getty Images】

 そこからインザーギは、精力的に働いた。実は彼は、現役時代から第3部の動向を追っていたマニア。このカテゴリーで戦う多くの選手たちの情報を網羅していた彼は、就任するとすぐに補強に必要な選手のリストを提出して首脳陣を驚かせたという。もちろんタコピーナ会長らも彼の要望を聞き、実に20人の選手を入れ替えた。

 ファバリンは人気もあったため、インザーギが結果を出せなければ当然批判の的となるところだった。しかし、そこはセリエAの監督経験者にして下部カテゴリーマニア。比較的短時間でチームをまとめ、11月に首位に立ってからは他を引き離し、優勝まで突き進んだ。年間23勝はクラブ新記録、2017年に入ってからは負けもなかった。

 システムは4-3-3。ただジェレミー・メネズを“ニセ9番”的に置き、ジャコモ・ボナヴェントゥーラと本田圭佑にサイドの上下動をさせてカウンターを狙っていたミランのトップチームとは異なり、3トップに加えてMF一人を必ず前線に行かせながら、攻撃的に試合をコントロールするというものだ。ただ強いだけでなく、後半に決勝点を挙げて勝った試合も多い。アウェイでは、先行されながら追いついて最終的に勝ち点をもぎ取った試合は12試合もあった。

 それでいて失点はリーグ最少。突出したストライカーはいない代わりにゴールを挙げた選手は16人に登り、セットプレーでの得点も15ゴールと総合力の高さが光った。会長の目論見どおり、インザーギは勝者のメンタリティーをチーム全員に浸透させた、ということだ。「来季はもちろん続投。なんなら一生やってもらう。私はイタリア人のように、しょっちゅう監督を変えたくはない」と、タコピーナ会長は語る。

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