横浜F消滅で人生を狂わされた男。天皇杯優勝を喜びきれなかったJrユース指導者【フリューゲルスの悲劇:20年目の真実】

2017年04月28日(Fri)10時29分配信

シリーズ:フリューゲルスの悲劇:20年目の真実
text by 宇都宮徹壱 photo Tetsuichi Utsunomiya, Getty Images
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事務所の後片付けで切り刻まれたマスコット

毎年クラブ関係者に贈られていた記念品を前田氏は大切に保管している
毎年クラブ関係者に贈られていた記念品を前田氏は大切に保管している【写真:宇都宮徹壱】

 新横浜にあった、全日空スポーツの事務所の後片付けも、僕らスタッフの仕事でしたね。とび丸(フリューゲルスのマスコット)の着ぐるみを見つけた業者の人が「これ、どうします?」と聞いてきて、上の人が「もういらないです」って言ったものだから、ガーってカッターで切り刻んだんですよ。

 あれは失敗でしたね。無理してでも、僕がもらっておけばよかった。近所でイベントがあった時に、僕が着ぐるみに入って子供たちを喜ばせることもできたわけだし(笑)。

 幸い、とび丸の着ぐるみは3体あって、残りの2体は日本サッカーミュージアムと、フリューゲルスの企画運営をしていたファーストという会社が今でも保管しています。それ以外にもいろんなお宝グッズが出てきたので、僕が回収できたものは今も大切に倉庫で保管しています。

 フリューゲルスが吸収合併されてからは、F・マリノスのジュニアユースの指導者として、僕を含めて6人がスライドすることになりました。もともとマリノスは、新子安と追浜にジュニアユースがあって、僕がフリューゲルス時代に教えていた菅田は「横浜F・マリノスジュニアユース菅田」となりました。

 契約は2年間。ただし、合併した年に菅田だけセレクションがなかったんですね。2年経てば、子供たちは全員卒業していきます。そうなると菅田は自然消滅だし、僕らもクビになるわけですよ。

 僕の場合、それでも他のJクラブからコーチのオファーは来ていたんですよ。そしたらF・マリノスのほうから「前田くんはフリューゲルス時代から地元に人脈を築いてきたから、指導者ではなく地域密着のためのポストに就いてくれないか」と言われたんです。

 そういう道もありかなと思ったんですが、なかなか向こうから条件が出てこない。焦って上の人に確認したら「そんな話は聞いていない」ですよ。冗談じゃない。こっちは他からのオファーも断っているし、家族だっているんだ。横浜地方裁判所に訴状を提出しましたよ。こちらはちゃんとした証拠を残していたので、最終的には和解になりましたけど。

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