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Jリーグ 7年前

横浜F消滅で人生を狂わされた男。天皇杯優勝を喜びきれなかったJrユース指導者【フリューゲルスの悲劇:20年目の真実】

シリーズ:フリューゲルスの悲劇:20年目の真実 text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya, Getty Images

今でもフリューゲルスは「すべて」

 今はたまにTVの解説をしたり、クリニックをやったりしながら、家内のフランダンス教室を手伝っています。現役時代はずっと支えてくれたから、今度はこっちが支える番ですよね。

 そうそう、JFAの『こころのプロジェクト』は始まって10年になるんですけど、そっちの活動はずっと続けさせていただいています。ただ、夢先生として子供たちの前に立ったときに、自分がどういう立場でここにいるのかを説明するのが難しい。

 横浜F・マリノスは知っていても、フリューゲルスというチームがあったことなんて、誰も知らないわけですよ。「Jリーグは最初10チームでスタートして、その中に横浜フリューゲルスというチームもあって」という説明もするんですけど。今は小学生の親御さんでも、もしかしたらうっすらした記憶しかないかもしれませんね。

 僕にとってのフリューゲルスですか? 今でもそうですけど「すべて」ですよね。それしかないです。ずっとここで暮らしてきたのも、フリューゲルスから離れられなかったからだと思います。

 いちおうOB会みたいなものがあるんですが、今も地元にいるのは僕くらいなので、みんなで集まろうとなったときには僕が音頭を取ることになります。08年に(合併決定から)10周年ということでパーティーをやったんですけど、60人くらいは集まったかな。

 ただ、あの時は現役の選手も多かったので、チーム事情で来られなかったOBもいたんですが。でも来年の20周年には、当時の若手もそれなりの年齢になっているので、純粋に再会を喜び合えるんじゃないかなって思います。

<文中敬称略>

(取材・文:宇都宮徹壱)

【了】

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