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Jリーグ 7年前

旭日旗に相手サポ乱入…水原であの時何があったのか。現場の目撃者が語る真実の記録

text by 舩木渉 photo by Getty Images

旭日旗を掲げた2人からの謝罪。“共通認識”の及ばぬところで…

水原ワールドカップスタジアム
水原ワールドカップスタジアムは02年W杯でも使用された(写真は2015年のもの)【写真:Getty Images】

 バスに乗る前、のちに旭日旗を掲げたと判明する2人の男子大学生から謝罪があったとA氏は明かした。

「最終的にはバスに乗る前に、『彼らがどうしても謝りたい』ということで謝罪を受けました。フロンターレのユニフォームを着た2人組の大学生でした。(旭日旗を出した)理由は一切言っていなかったですね。『自分たちは挑発しようと思ったわけではなくて、ただ純粋に応援するために持ってきた』とのことでした。

その時は自分たちの軽率な行動で騒ぎを招いて帰れなくなったことに対して迷惑をかけて申し訳ない、という謝罪でした。当時は処分がどうこうという話は全く出ていませんでしたから。情報が錯綜していて、フロンターレサポーターの多くは何が(水原サポーター乱入騒動の)原因だったか把握できていなかったと思います。2人も心底しょげていて、とても嘘を言うような雰囲気ではなかったですし」

 そもそもフロンターレのサポーターは、ACLのアウェイゲームに向けて横断幕や旗から日本国旗など少しでも問題の原因になりそうなモチーフを外していた。中国や香港などでの試合には相手クラブに掲出物の事前申請が必要だが、韓国での試合にはそのようなルールがない。

 とはいえ国際試合。不要な摩擦を避けるため、過去の他チームの例なども鑑みて、海外遠征経験の豊富な「コアサポーター」の中では国旗などは持っていかない方がよいという「共通認識」があったという。今回の旭日旗はそういった事前の知識の共有が及ばないところから出てしまったようだ。

 なお、A氏はスタジアムを出なければいけなかったため、現場のスタッフや警察がどのように水原サポーターの怒りを収め、騒ぎを終結させたのか、フロンターレのコールリーダーらが事態の収拾に関与したのかは把握できていない。現場にいたフロンターレのサポーターは全員無事に帰国している。

 試合翌々日の27日、AFCからフロンターレに処分が検討されていることが発表された。サポーターの行動が「差別」に関してのルールが定められているAFCの懲罰規定58条に抵触する可能性を指摘されている。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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