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ペップ、失望と落胆ばかりのプレミア1季目。キャリア最大の正念場。信念の貫徹が裏目に

バルセロナとバイエルン・ミュンヘンで一時代を築き、大きな期待を背負ってマンチェスター・シティの監督に就任したジョゼップ・グアルディオラ。シーズン序盤こそチームは好調を維持していたが、現在ではチャンピオンズリーグ出場権獲得すら危ぶまれる状況に。稀代の戦術家は監督キャリア最大の正念場に直面している。(取材・文:Kozo Matsuzawa / 松澤浩三【イングランド】)

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

思い描いていたシナリオとかけ離れた現状

マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督
マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督【写真:Getty Images】

「ペップ、アウト、アウト(出ていけ)!」

「ペップ政権にはもう飽き飽きだ」

「信頼が毎試合ごとに薄れていく。きょうの戦術も完全に間違っていた」

「自惚ればかりで、プレミアを分かっていない」

「1年目でリーグに慣れたはずだから、来季が楽しみだ」

「ペップは最高の監督。選手たちがプレーできていないだけだ」

「真のブルーズ(シティファンの愛称)なら分かっているし、ペップをサポートしている」

「今季は試行錯誤のシーズン。ペップなら必ず成功する」

 上記のコメントは、2-2で引き分けた4月30日のプレミアリーグ(PL)、降格寸前のミドルズブラ戦後のマンチェスター・シティサポーターの反応である。端的にいえば、シティファンはペップ・グアルディオラ監督指揮下のクラブを複雑な心境で見守っている。

「ペップを信じたいが、無理なのではないか」

 確実に言えるのは、シーズン開幕前、さらにシーズン開幕直後に連勝を重ねていた頃に彼らが思い描いていたシナリオと、現在クラブの置かれた状況は大きくかけ離れているということだ。

 ときを遡ること15ヶ月前の2016年2月1日、シティファンにとって待ちに待ったニュースが舞い込んだ。クラブが、稀代の戦術家と評されるグアルディオラの新監督就任を発表したのである。

 2012年には、当時ニューヨークで浪人生活を送っていたグアルディオラにアプローチをかけ、実際に交渉のテーブルにもついていた。しかし最終的には、同年冬にドイツの名門バイエルン・ミュンヘンが契約を発表。シティのサポーターは大きく失望させられた。

 そう、グラルディオラの監督就任は、4年越しのラブコールのすえに実ったのである。バルセロナ退任直後も含めると、3度にわたり招聘に乗り出した大物だ。そして最終的には、三国志に登場する諸葛亮孔明さながら、「三顧の礼」にて天才軍師を迎えることに成功した。ファンの喜びと期待がさらに増幅したのは間違いない。

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