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ペップ、失望と落胆ばかりのプレミア1季目。キャリア最大の正念場。信念の貫徹が裏目に

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

バルサとバイエルンでの実績。上がっていたハードル

 反グアルディオラの人間は、「バルセロナ時代は素晴らしい選手たちに恵まれただけ」、「バイエルン時代にリーグ3連覇を果たしたものの、CLでは勝てなかったし、結局はハインケスの遺産を使っただけ」と揶揄する。

 ミドルズブラ戦後にマンチェスター・イブニング・ニュースに寄せられたシティファンの中からも以下のコメントを見つけた。

「7シーズンで21個のタイトルを獲得したといっても、バルセロナとバイエルンではすでにチームが完成していた。今はレトルト食品のような出来上がったチームではないから、化けの皮がはがれたんだ。

 リオネル・メッシやアンドレス・イニエスタがいるチームだったら、誰でも優勝できる。チームを作ることができないし、ペップの本当の能力が分かる。3バックは一度も成功していないのに、このタイミングで使うなんてまるでお笑いだ」

 辛辣な言葉からは、ペップの限界が見えたと考えているのが分かる。だが果たしてそうなのか。チェルシーで1年目から成功を収めているアントニオ・コンテは、開幕直後に調子が上がらずに、一時はブックメーカーが「解任の筆頭候補」に挙げていた。それが今はどうだろうか。コンテは早い段階で修正に着手して、優勝の2文字が目の前まで迫っている。

 翻ってペップは、PLではCL出場権獲得となる4位に入るか否かのギリギリの戦いをしていて、国内・欧州カップ戦もすでにすべて敗退。3月の時点で、指揮官自身も「トロフィーがなければ、いいシーズンではない。監督はすべて結果次第。私の場合は過去のスタンダードが高く、求められるものが大きいのも分かっている」と語っている。

 この言葉どおり、プレミアデビューシーズンは、彼のスタンダードからすれば、決して成功とはいえない。チームのパフォーマンスにフラストレーションが募り、マスコミとの関係も悪かった。1月上旬の対バーンリー戦後。2-1で勝利したにも関わらずフェルナンジーニョの退場が気に食わずに、試合後のインタビューでは苦笑いを繰り返し、頭をかき、鼻をいじってばかりのおかしな対応を見せている。

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