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ペップ、失望と落胆ばかりのプレミア1季目。キャリア最大の正念場。信念の貫徹が裏目に

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

過信とも思えるほどに貫く信念。だが結果に結びつかず

マンチェスター・シティに加入後、パフォーマンスが芳しくないクラウディオ・ブラーボ
マンチェスター・シティに加入後、パフォーマンスが芳しくないクラウディオ・ブラーボ【写真:Getty Images】

 とはいえ、微調整をしないわけではない。例えば11月のホームでのバルセロナ戦は、試合途中からポゼッションとロングボールを織り交ぜた試合をして、バルサの誇る中盤を完全に分断することに成功、3-1で完勝した。また体重オーバーや、代理人の暴言などを理由に起用しなかったヤヤ・トゥーレを11月中旬から使い始めて、一時チームのパフォーマンスが向上してもいる。

 自分が必要だと感じれば、調整は施すのである。ただ意固地になっているのではないだろうか。今季のグアルディオラ采配を見ていて感じる最大の問題は、過信とも思わせるほどに自身の信念を貫き、逆にそれが結果につながっていないところだ。それが上記のモナコ戦であり、冒頭のミドルズブラ戦でもある。

 モナコ戦では攻撃的なサッカーを演じたいあまりに結果を反故にした。後者では、守備を3バックにしてウィングバックにヘスス・ナバスとガエル・クリシと配置して失敗した。その3日前に行われたマンチェスター・ユナイテッドとのダービーを見ても、このような変更の必要性は感じなかった。だからこそ、ファンが期待していたのは継続であり、スターリングとレロイ・サネといったスピード豊かなウィングを使うことだった。

 ほかにも、失点と凡ミスを繰り返し続けるクラウディオ・ブラーボを使い続けるのも、これに当てはまる。前述のダービーの際にも不安定なパフォーマンスを見せて、解説のガリー・ネビルが「周りがまるで見えておらず、ああいったところが問題」とばっさり切った。それでも固執し続けてしまう。つまり、現在のグアルディオラ監督はバランス感覚が少し鈍っているのではないだろうか。

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