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日本代表 7年前

【U20】堂安の躍動を引き出した2人との友情。“相棒”と“盟友”、ピッチ上で結実した思い

text by 舩木渉 photo by Getty Images

無念の離脱。背番号9に届いた思い

 圧巻の2ゴールを決めた堂安は、仲間のもとへ走っていき、背番号9のユニフォームを天に掲げた。左ひざ前十字じん帯断裂と半月板損傷で途中離脱が決まったエースに捧げるゴールだった。「自分の中ではあいつのために戦った」と堂安は語る。

 U-20W杯の遠征中、宿泊するホテルで堂安は小川と同部屋だった。若き日本代表を引っ張ってきた2人は、そこでたくさんのことを語り合ったのだろう。イタリア戦の前に「自分が怪我をしていないので、簡単にあいつの分まで頑張るとは言えない。あいつの気持ちはあいつしか分からない」と話していた堂安の気持ちは、大きく変わっていた。

 ユニフォームを掲げたパフォーマンスについては「まあ、絵になるかなと思って(笑)」と冗談めかして話したが、「試合前にユニフォーム飾ってへんなと思って、水飲む時に『航基のユニフォーム取ってきて』と言っていた」と明かした。背番号9も共に戦う、その意識は強かった。

 イタリア戦を最後にチームを離れる小川は「本当に心の底から応援していましたし、なんとか勝ち上がって決勝トーナメントに行ってほしいと思っていました。ああやって自分のユニフォームを掲げてくれてすごく嬉しかったですし、(堂安)律が決めたというので、それもまた嬉しいです。やってくれるんじゃないかと思っていたので」と、“盟友”の活躍に笑顔を見せた。

 小川はチームが目標としていた結果を出せたことで、自分にもポジティブな影響があると強調する。「自分も前向きになれると思いますし、このチームが躍進してくれれば、あいつらが頑張っているから俺も頑張らなきゃいけないと思うので、本当の本当に頑張ってほしい」と、韓国で戦いを続ける仲間たちにエールを送った。

 堂安は「自分ができることはピッチで表現して、(小川を)ああやって勇気づけることやと思うんで、感動できるような試合はできたかな」と話していたが、その思いはエースにしっかりと届いていた。

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