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日本代表 7年前

日本代表、中堅世代に求められる自立。年長者依存から脱却し真の世代交代を

text by 元川悦子 photo by Getty Images

年長者依存のメンタリティ。原口らに求められる仕事

 とはいえ原口は「若くても若くなくても僕は別にいいと思うし、日本代表が勝てばいいと思ってるので。ただ、自分は出てなきゃ嫌だし、出続けるにはやっぱり結果を出さなきゃいけない。世代交代だとかっていうのは僕はどっちでもいいですね」と淡々と語り、久保も「僕はチャンスをもらえた時に自分のプレーをするだけ。それがチームの結果に出れば一番いいので、特に意識することなく自分のプレーをやりたいと思います」と自らのパフォーマンスに集中する意向を示しているように、彼らの中では「自分たちがチームをけん引していく」という意識がまだまだ薄いようだ。

 原口や久保、大迫などは代表の主力に上り詰めたのが最近で、そういう考えにならないのも理解できる部分はある。今回、乾貴士(エイバル)という絶好調のサイドアタッカーが加わり、熾烈な競争を強いられそうな原口にしてみれば、自分が結果を出すことで精一杯という心境かもしれない。

 しかしながら、前回のW杯最終予選からチームに帯同している酒井宏樹(マルセイユ)が「(本田)圭佑くんは絶対的存在だし、あそこにボールが集まる。みんなそこに信頼を寄せている」としみじみ話したように、ロンドン・リオデジャネイロ両五輪世代には心のどこかで本田ら30代の年長者に頼っているところがある。それは紛れもない事実だろう。

 年長者依存のメンタリティから脱して、自分たちがどんどん前に出ていく意識を持ち、それをピッチ内外で表現できるようになってこそ、日本代表の真の世代交代が進んでいく。負けん気の強さを表に出せる原口、所属するハンブルガーSVで日本人初のキャプテンという重責を背負ってドイツ1部残留に貢献した酒井高徳などは、もっと率先して日本代表をけん引する仕事をしてもいいはずだ。

「(HSVで)キャプテンをやって『周りは悪くても自分は常によくなきゃいけない』と思いながらずっと戦っていたし、最低限いいプレーを見せて味方を勢いづけられるようにしたいと思って取り組んできました。チームが沈むようなシチュエーションでも『ポジティブに、ポジティブに』と考え、チームが自信を持てるように仕向けてきたつもりです」と酒井高徳はコメントしていたが、そういう発信力を多くの選手が持つべきだろう。

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