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日本代表 7年前

目覚めよ、ストライカーの本能。大迫と岡崎、2大エースのゴールがハリルJを変える

text by 元川悦子 photo by Getty Images

ストライカーを生かす新たな形の創造

 そのせいか、大迫は最終予選初出場となった昨年11月のサウジアラビア戦(埼玉)からノーゴール。シリア戦もシュートわずか1本にとどまった。大迫と終盤交代した岡崎にしてもシュート数はゼロ。国際Aマッチ109試合出場を誇る31歳のベテランも、この最終予選では3月のタイ戦(埼玉)で1点を奪っただけで、物足りなさが残る。

 いかにして彼らストライカーがゴール前の凄みを増し、点の取れるFWへと変貌していくのか。得点力不足にあえぐ日本攻撃陣にとって、非常に重要な命題と言えるだろう。

 ひとつの解決策として考えられるのは、大迫が指摘した通り、サイドが起点を作って1トップが仕留める新たな形を構築することだ。シリア戦で今野泰幸(G大阪)が奪った同点弾はそのヒントになり得る崩し。長友佑都(インテル)から原口元気(ヘルタ・ベルリン)、そして大迫へとつながり、相手DFの背後に飛び出した長友にリターンパスが渡って、最終的に逆サイドから走り込んだ今野が決めた。

 ゴール前には本田や倉田秋(G大阪)も走り込んでいた。そこに大迫も加わって、クロスに反応できれば、得点を決めるのはそう難しいことではない。中盤で誰かが起点を作って、1トップのターゲットマンとしての負担を減らすのも一案。シリア戦後半に本田が右インサイドハーフに入ってタメを作ってくれた時間帯は、大迫もかなりやりやすそうだった。

「あそこで起点ができるのは、僕としてもすごく助かること。もっとゴール前に専念できるし、ゴール前に入れるとも思うから。(圭佑くんとの)縦関係はザックさん(アルベルト・ザッケローニ監督)の時もやっていたけど、あの時と比べて僕も今の方が自信はあるので、お互いが生きてくればいい」と大迫も話していた。

 もちろん中盤でタメを作るのが本田以外の選手であっても構わない。1トップの前線での仕事量を分散させられれば、もっとゴールに力を使えるはず。そういうメリハリこそ、大迫がケルンで相方のアントニ―・モデストから学習した最も重要なこと。その成果を発揮できるような周囲との関係を築ければ理想的だ。

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