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日本代表 7年前

目覚めよ、ストライカーの本能。大迫と岡崎、2大エースのゴールがハリルJを変える

text by 元川悦子 photo by Getty Images

2人のFWに求められる“本能”のゴール。日本を勝利に導けるか

アズムン
イラン代表にはアズムンという若くて頼れるエースストライカーがいた【写真:Getty Images】

 その大迫がいち早く得点を奪ってくれれば日本は比較的余裕を持って戦えるが、5月に監督が交代したばかりのイラクも、リオデジャネイロ五輪世代の若手が勢いを持って挑んでくるため、そこまで簡単にはやらせてくれないだろう。

 大迫が粘って相手のエネルギーを消耗させ、途中から岡崎が出てくれば、1トップの得点確率はより上がる。2人が90分間を通してFWとしての仕事をそれぞれ補完しながらやり切る形を作れれば、チームにとってはプラス以外の何者でもない。実際、岡崎はクローザーとしてのイメージを膨らませている様子だ。

「今までの(最終予選の)パターンを見ても、前半がうまくいくのはなかなかない。それも想定してやった方がいいかなと。イラクは後半に弱いし、最後に集中が切れて試合を落としていることが多いので、むしろ後半に勝負をかけた方がいい。入りを失敗すると難しい試合になるので、前半は我慢の展開になってもいいから、固い試合をしてもいいと思います」と背番号9は言う。

 これはレスターで求められている守備的FWの仕事とは180度違うため、今の彼には難しさもあるかもしれない。だが、日本代表通算50ゴールという偉大な実績を誇るアタッカーがフィニッシュの大仕事を託されるのは当然と言えば当然だ。短時間の出場に終わったシリア戦での不完全燃焼感を糧に、今回こそ頭を切り替えて点取り屋としての本能を思い切り出してほしいものである。

 イラク戦前日の12日にウズベキスタンを撃破してアジア最初のロシア行きを決めたイランの前線には、サルダル・アズムン(ロストフ)という22歳の若きストライカーが君臨している。彼はこの大一番でも確実に先制点を奪い、チームを勝利導いた。

 大迫と岡崎は、強いチームにターゲットマンとしての力と得点力を兼ね備えたFWがいるという事実をしっかりと刻み込み、アズムンのように重要な場面でゴールを奪えれば、イラク戦勝利の原動力になるはずだ。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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