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柴崎岳がテネリフェのヒーローになった夜。日出ずる国の司令塔が灯した希望の光

text by 舩木渉 photo by Getty Images

全員の献身で猛攻を阻止。柴崎のゴールが決勝点に

 15分ハーフの延長戦もカディス捨て身の攻撃がテネリフェに襲いかかる。83分にサルビ・サンチェスを下げ、今季リーグ戦17得点のエースFWオルトゥーニョを投入していたカディスは、延長前半の101分に左サイドバックのブライアン・オライバンに代えてウィングのアイトール・ガルシアを送り出して攻勢を強める。

 1stレグで決勝点を挙げたアゲル・アケチェらを中心に猛烈な勢いでゴールに迫ってくるカディスを、テネリフェはチーム全員で押さえ込み、延長後半まで無失点で踏みとどまった。その結果、2戦合計スコア1-1のまま試合終了。

 PK戦はないため、レギュラーシーズンを4位で終えていたテネリフェが、同5位のカディスを抑えて昇格プレーオフ決勝へと駒を進めた。来季の運命を決める最終決戦の相手は、昨季まで1部の常連だったヘタフェ。またしても強敵が待ち受けている。

 殊勲のゴールでテネリフェを勝利に導いた柴崎は、アーロン・ニゲスが先発を外れたことでセットプレーのキッカーも担当するなど、攻撃面で随所に持ち味を発揮した。ピッチ上をさまようだけだった1stレグとは打って変わり、チャンスメイクという役割が明確になったことで輝いた印象だった。

 左サイドを起点に前線を幅広く動き回り、縦の関係でポジションを入れ替えるロザーノとアマス・ンディアイエに効果的なパスを供給するなど、ゴール以外にも120分間を通して高い能力を証明した。移籍当初は環境への順応に苦しみ、活躍までに時間を要したが、ようやく本領発揮といったところか。

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