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Jリーグ 7年前

柏・Dオリベイラの背中に見た確信。サイドからの撮影で得た「ゴールが決まる」感覚【カメラマンの視点】

シリーズ:カメラマンの視点 text by 松岡健三郎 photo by Kenzaburo Matsuoka

決まったと確信する感覚。会心の1枚

「このFKが入ったらディエゴ・オリヴェイラを入れよう」とFK直前にコーチ陣と話したという下平隆宏監督の悪い予感が的中してしまい、失点直後に、中川に代えて、ディエゴ・オリヴェイラを入れる。「裏を狙え」と監督の指示通り、ディエゴ・オリヴェイラを入れる効果の予感も的中させた下平監督。

 終盤88分。右サイドバックの小池が右サイドラインに開いた伊東につなぐ。中央にいたクリスティアーノが外へ斜めに走り出すと、その動きにクロスするように、伊東が中央へ持ち出す。

 札幌のDFラインがスライドしたすき間が開き、そこへ伊東がスルーパス。ディエゴ・オリヴェイラが裏へ抜け出す。「はじめは右足でシュートしようとした」と本人は冷静に分析。しかし、キム・ミンテがカバーにきたため、キックフェイントからすぐに左足を振り抜く。

ディエゴ・オリヴェイラが左足で決勝ゴールを決めた
ディエゴ・オリヴェイラが左足で決勝ゴールを決めた【写真:松岡健三郎】

 ゴール裏から撮影しているときは選手を追うと、シュートコースは全く見えないし、ゴールが入ったどうかも、ファインダーから目を離さないと見えない。

 しかし、このシーンではこの写真の時点で、シュートコースも、ゴールが入ることも確信できた。その確信が生まれると、ファインダーから目を離さずに、シュートを決めた選手を追い続けることができる。だから、ゴールパフォーマンスも外すことは少ない。

 シュートコースはサイドから撮影していないと分からないし、決まる前に、決まったと分かる感覚も生まれない。会心の1枚だ。

 柏は最後の場面でも四角形から相手を崩した。単純な話だが、3人よりも4人のほうが攻撃の選択肢が多い。甲府戦から1試合足らずで、引いた相手を攻略できた柏。シーズン前の目標をACL出場から“優勝”へと変更した。目標を遂行するために取りこぼしない強さを見せた。

(写真・文:松岡健三郎)

【了】

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