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Jリーグ 7年前

磐田・アダイウトンが破った殻。日本で飛躍的な成長、ブラジル人アタッカーの地道な努力

text by 青木務 photo by Getty Images

スタメンを外れた時期。現状打破に必要なものを思案する日々

 2017年の磐田は『競争』がひとつのテーマとなっている。各ポジションに実力者が加わったことで昨年までの序列はリセットされた。スタメンを約束されている者はおらず、パフォーマンスが落ちれば当然、試合のピッチに経つ時間は短くなる。

 アダイウトンも例外ではなかったが悲観的にはならず、むしろチャンスと捉えていたようだ。第12節・柏レイソル戦に2トップの一角で先発復帰した後、こう振り返った。

「自分がいくら気を抜いていないようでも、ずっとレギュラーで出ていると少し油断というか、自分に甘さが出てくる時もある。自分自身に喝を入れる、檄を飛ばすという意味でも良かったなと。柏戦では久々にスタメンで出たけど、チームメイトとの競争があったおかげでいいプレーというか、自分でも少しレベルが上がったと感じる」

 試合に出場できないからといって不満を漏らす人間はチームにはいないが、この26歳も気落ちすることなく、現状打破には何が必要かを考えていた。

「サッカーをやっている上で、レギュラーで出ている時もあればベンチに座ることもあるので、全く慌てる必要はない。ベンチから出るメンバーがいいプレーをすると、チームにとってもプラスになるし、練習でしっかりアピールしてレギュラーを取るというこの循環は非常にいいものだと思う。

 常にメンタルを平常心に保っていないと、出番が回ってきた時にいいプレーができない。自分のキャリアの中でそういうこともあったし、酸いも甘いもたくさん経験してきたので、慌てる必要はないとわかっていた」

 自身の置かれた状況に一喜一憂せず、フラットな気持ちで日々を過ごすことは決して簡単ではない。だが、アダイウトンはそれを実践してきた。だからこそ今の活躍があるのだろう。

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