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Jリーグ 7年前

磐田・アダイウトンが破った殻。日本で飛躍的な成長、ブラジル人アタッカーの地道な努力

text by 青木務 photo by Getty Images

「自分がボールを持った時に一番『矢』になる」(中村俊輔)

ジュビロ磐田のMF中村俊輔
ジュビロ磐田のMF中村俊輔【写真:Getty Images】

 練習後のクールダウンで、アダイウトンと中村俊輔が通訳を交えてコミュニケーションを取る姿がある。磐田の新たな10番は、加入当初からこのブラジル人アタッカーのスピードとパワーに着目していたようで、リーグ戦開幕直後にこんな言葉を口にしている。

「(昨シーズンの)ジュビロのゴール集を見ても、センタリングやCKからジェイの頭、アダが抜けてというシーンが多かった。自分がボールを持った時に一番『矢』になるのが、今のところアダかなと」

 動き出しのタイミングについて的確なアドバイスを送ることで、特徴を最大限まで引き出そうともした。

「相手最終ライン(付近)にいていいよ、そこでヨーイドンしたら絶対にお前の方が速いから、と。プルアウェイしてくれれば足元に出せるよ、とか。そういうことはランニングしながら伝えた。アイツはゲームを決められるし、動かせるから」

 アダイウトンも、中村俊輔とのコンビネーション確立に意欲を示す。自身のパフォーマンスを得点という結果に繋げるためには、パスの出し手と呼吸を合わせることが不可欠だからだ。その言葉には、天才レフティへの敬意が込められる。

「僕自身の意見を言ってもしっかり聞いてくれるし、お互いの考えをすり合わせる関係性が築けていると思う」

 スタメン復帰となった柏戦の前半早々、10番のスルーパスに抜け出してGKと一対一の局面を作った。フィニッシュは相手守護神・中村航輔のファインセーブに阻まれたが、互いのイメージは共有されていた。

「シュンさんが振り向いて顔を上げた時に自分が走り出せば、必ず裏を突けるという話をしていた。シンプルだけど非常に有効な、直接シュートに持ち込めるようなプレーだった」

 今のところ、中村俊輔のアシストから奪ったゴールは第7節・サガン鳥栖戦の1点にとどまる。今後、2人の関係からの得点が増えればチームの成長曲線もさらに上向くはずだ。

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