サッカーと直接関係がないことも知りたい
――ところで、先ほど話していた飛騨高山にはどんな用向きが?
「日本酒です。ある知り合いの方が紹介してくださって、舩坂酒造店という酒蔵へ。どうやってお酒が造られているのか興味があった」
――ほう、日本酒ときましたか。
「今回、『オリジナルの銘柄をプロデュースしませんか?』というお話をいただき、喜んでやらせてもらいました。『左命 あくしゅ』限定300本。ラベルをどうするか、どんな箱にしようか、ボトルの色選びなど、みんなで話し合いながらひとつのものを作り上げていくのが好き。おれ、サッカーに直接的な関係がなくても、いろいろなことを知りたいんです。
ほかのところでは陶芸や茶道も体験させてもらい、日本の伝統文化にたくさん触れられました。黒澤ファームの皆さんと過ごした夜も楽しかったなあ。ほかの選手たちは女の子とコンパだろうに、おれと光司は農家のおじさんたちと朝まで。カラオケじゃなくてナマオケですよ。バンドがいて、演奏してくれる。ただし、曲数は200くらいしかない」
――ビタイチ興味ありませんが、一応訊いときます。そこで披露した渾身の一曲は?
「おれはドラムを担当していたんで」
――は? ドラム? 叩けるの?
「ふつうに8ビートくらいだったら」
――驚いたね。バンドをやっていた話なんか聞いたことがない。
「中学生のとき、ゲームセンターで」
――おいおい、ドラムなめんなよ。要するにそれ『太鼓の達人』だろうが。
「基礎はそこでだいたいは」
――この世にだいたいの基礎なんかあるか。ところで小林選手、僕たちはサッカーの話をほとんどしていない。このままではまずいことになる。
「いいですよ。しましょう、サッカーの話を」