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Jリーグ 7年前

家長昭博、笑顔輝く完全復活。苦しみ抜いた末の祝福、フロンターレ進撃のエンジンに

text by 藤江直人 photo by Getty Images

シーズン序盤、まさかの長期離脱。歓喜までの348分間

 テクニック。状況判断力。長い距離を走ってきた体力。何よりも、あの場面でループ気味のシュートを選択できる遊び心。すべてが満載されたスーパーゴールに、スタジアムに居合わせた誰もが酔いしれた。

「(焦りは)もっていましたけど、あまり試合に出ていなかったこともありますし、そっちの問題のほうが自分自身のなかでは大きかったと思うので。僕、等々力での先発が初めてやったんで。それくらい、試合に出ていなかったということなので」

 リーグ戦で10試合目、出場時間にして348分間が費やされた末に生まれた初ゴール。もっとも家長が振り返ったように、シーズンの約3分の2が終わろうとしている段階では物足りない数字だ。

 大宮アルディージャに移った2014シーズンは、開幕2戦目で初ゴールを決めた。今シーズンは3年間所属した古巣と開幕戦で対峙し、57分間プレーした。しかし第2節以降、家長の名前はこつ然と消えた。

 右足親指のつけ根に骨挫傷および不顕性骨折を負い、川崎市内の病院で手術を受けたとチームから発表されたのは3月17日。全治まで約1ヶ月とされた当初の復帰時期は、大幅にずれ込んでしまった。

 リーグ戦で再びピッチに立ったのは、5月19日のJ1第12節アントラーズ戦まで待たなければいけなかった。キャンプで体感した新しいサッカーを、実戦で反映させていく大事な序盤戦で長期離脱を強いられた。

 ましてやフロンターレのスタイルは、他チームとは明らかに一線を画す。たとえば「フリー」の定義ひとつをとっても、それまでのサッカー人生で培ってきた常識を洗い流すまでにはかなりの時間を要する。

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