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Jリーグ 7年前

ハーフナー・マイク、山あり谷ありのサッカー人生。神戸で示す自らの「生きる道」

text by 舩木渉 photo by Getty Images

「そろそろある」と予想するチャンス。今こそ自らの価値を示す時

ハーフナー・マイク
移籍後初先発はいつになるだろうか。ハーフナー・マイクはチャンスを虎視眈々と狙っている【写真:Getty Images for DAZN】

 欧州で当たり前だったプレー強度の高さと日本の主審の基準が合わない場面もある。13日行われたJ1第22節FC東京戦の70分、途中出場だったハーフナーは味方がヘディングで競った後のこぼれ球に反応し、DFを腕で抑えながら反転してループシュートでゴールネットを揺らした。

 しかし、東城穣主審の判定はハーフナーのファウル。これ以外でも厳しめのジャッジに天を仰ぐ場面が何度かあった。「得点でしょ、あれ」とループシュートの場面を振り返ったハーフナーは「本当はJリーグが(ヨーロッパの基準に)寄せなきゃいけないと思うんですけどね。まあしょうがないです。それにも慣れるしかない」と前を向いた。

 Jリーグに復帰してからまだゴールに恵まれていないが、FC東京戦でその時は近づいていると確信できた。GKのスーパーセーブに阻まれたものの、86分にはMF橋本和のクロスから武器でもあるヘディンシュートでゴールを強襲。劣勢の中、45分間のプレーでゴールになってもおかしくない場面を2度作った。

 おそらくハーフナー自身もゴールに近づいていることを感じている。FC東京戦後には「そろそろ点が欲しい」と野心を隠さず、「(スタメン出場は)そろそろあると思います」と述べてニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

 神戸への入団会見で「得点が自分の生きる道」と語っていた30歳のストライカーは、欧州で絶対的な武器を磨き上げ、円熟味を増して日本に帰ってきた。彼は昨年2月に極寒のオランダで「これからの試合も結果を残していければ、選ばれるはず」と話した1ヶ月後、日本代表復帰を果たした有言実行の男だ。

 会話をしていても、いい意味でのギラギラ感は失われていない。いつも飄々としているが、胸の内に野心と闘志、自信を秘めている。ポドルスキに期待が集まるのはもちろんだが、11位に沈み不振にあえぐ神戸を救うのはクリムゾンレッドの背番号9をまとったハーフナーかもしれない。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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