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日本代表 7年前

長友佑都、決戦直前も周囲に与える余裕。オーストラリア撃破へ、修羅場くくったベテランの経験

text by 藤江直人 photo by Getty Images

臨機応変な戦いのために欠かせないベテランの経験

 2013年から指揮を執るアンジェ・ポスタコグルー監督は今年に入って、従来の4バックを3バックに変更。アジア王者として出場した6月のコンフェデレーションズカップでは、ドイツ代表に敗れるも2‐3と接戦を演じ、カメルーンおよびチリ代表とはともに1‐1で引き分けている。

 そうした情報は、もちろん日本代表の選手たちのもとへも入っている。すでに何度も机上の戦いを済ませているのだろう。長友は具体的なゲームプランを思い描いていた。

「中央はやはり堅いので、サイドが勝負になると個人的には思っている。相手のフォーメーション的にもサイドで数的優位を作って、そこでの勝負に勝てれば、試合を優位に進められるんじゃないかと」

 3バックを採用すると、左右のストッパーの外側にスペースが生じるリスクを負う。左右のウイングバックが下がって5バック気味となる、Jクラブでよく見られる対応策をオースラリアはほとんど取らない。

「なので最終ラインの裏を狙うとか、カウンターで速く攻めるのはかなり効いてくるとも思う。僕たちが前からいくだけではなくて、わざと引いて相手を前にこさせてからカウンターを狙うのもありだと思う。フィジカル勝負では勝てないので、自分たちの経験や頭を使いながら攻めないと。

 守備もそう。ロングボールを蹴ってこない部分がどう出るかはわからないけど、しっかりとマークについて、裏を取られないようにしていれば防げるんじゃないかと。サイドバックとしては、センターバックが競り合った後のカバーも意識する。セカンドボールを拾われたら、かなり難しいので」

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督に求められる、縦への速いサッカーだけではない。状況によっては相手をおびき寄せることも含めて、硬軟織り交ぜながら難敵を攻略していく。攻守両面で臨機応変に戦い方を変化させていくためにも、修羅場をくぐり抜けたベテランの存在は欠かせない。

 開幕連勝と好スタートを切ったインテル・ミラノでも、2試合続けて左サイドバックで先発した。26日のローマ戦では左太ももに張りを訴え、自らの意思で後半11分にベンチへと退いてしまった。

 日本代表スタッフに冷や汗をかかせたアクシデント。もっとも、帰国後に受けた精密検査で「問題なし」と診断された。いま現在は痛みも感じないと、笑顔で心配無用を強調する。

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