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日本代表 7年前

浅野拓磨、殊勲のゴールも強める危機感。約1年ぶりの先発、確固たる居場所を築くために

text by 藤江直人 photo by Getty Images

自分の立ち位置を見極め、新たな挑戦へ

期限付き移籍先のシュトゥットガルトは1部昇格を果たし、2017/18シーズンはブンデスリーガ1部でプレーすることになる
期限付き移籍先のシュトゥットガルトは1部昇格を果たし、2017/18シーズンはブンデスリーガ1部でプレーすることになる【写真:Getty Images】

 アルジェリア代表を率いたワールドカップ・ブラジル大会では、決勝トーナメント1回戦を含めた4試合で、ハリルホジッチ監督は20人のフィールドプレーヤー全員をピッチに送り出している。

 組み合わせ抽選の結果次第では、スピードだけでは居場所を築けない可能性もある。だからこそ、総合力をあげる。UAE戦の幻のゴールを引き合いに出しながら、浅野はこんな言葉を残してもいる。

「あのプレーも含めて、いろいろなミスがいまにつながっていると思う。いろいろなミスをしてよかった、というわけではないんですけど…かみ合わないプレーはたくさんありましたけど、それでも動き続けることが大事だと思っていました。僕は本当に動くことしか、走ることしかできないので」

 サウジアラビア戦を終えれば、戦いの舞台はブンデスリーガ1部に戻る。昨夏に完全移籍したプレミアリーグのアーセナルには戻らず、今シーズンも期限付き移籍は継続されている。

 昨シーズンはブンデスリーガ2部で24試合に出場して、4ゴールをあげて1部昇格に貢献した。それでも、まだまだ武者修行が必要だと判断されたことを、浅野自身も前向きに受け止めている。

「もちろんアーセナルに戻ることも自分にとっては目標ですけど、ブンデスリーガ1部という舞台でプレーできているのは自分にとっても幸せなこと。学ぶこともたくさんあるので」

 久保もこのまま黙ってはいない。本田も逆襲の機会を虎視眈々と狙っている。小林悠(川崎フロンターレ)やポルティモネンセへ移籍した、リオデジャネイロ五輪の盟友でもある中島翔哉もいる。

 歴史を作った感慨は、すでに引き出しの奥深くにしまいこんだ。アーセナルから必要とされる結果を日本代表で、何よりもシュツットガルトで残せば、それだけレベルアップした証になる。

 ロシアの地で、自慢の韋駄天を世界の猛者たちにぶつけるために。常に危機感と背中合わせでプレーする浅野は自身の立ち位置をしっかり見極めながら、新たな挑戦をはじめようとしている。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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