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日本代表 7年前

浅野拓磨、殊勲のゴールも強める危機感。約1年ぶりの先発、確固たる居場所を築くために

text by 藤江直人 photo by Getty Images

試合前夜に言い渡された先発出場

 オーストラリア戦は、タイ戦以来となる先発だった。約1年間の歳月のなかで途中出場と、ベンチウォーマーに甘んじたまま試合終了を迎えたのがそれぞれ4度を数えていた。もちろん、ゴールはあげていない。

 ポジションも岡崎慎司(レスター・シティー)に次ぐワントップの2番手から、大迫勇也(ケルン)の台頭によって右ウイングへ移った。サンフレッチェ広島時代を含めて、未知と言ってもいい役割だった。

 しかも、自身だけでなくファーストチョイスだった本田をも、ヘントに移籍してから痛快なゴールラッシュを演じた、リオデジャネイロ世代でひとつ年上の久保裕也が瞬く間に抜き去っていく。

 オーストラリア戦の先発を言い渡されたのは前夜。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督からは「裏のスペースを狙い続けろ」と、50メートル走で6秒を切るストロングポイントで攻めろと檄を飛ばされた。

 2ヶ月近い時間をかけてオーストラリアを丸裸にしていた指揮官は、3バックに変えて中盤を厚くした相手が、どんな試合展開になってもとことんポゼッションを志向してくると見抜いていた。

 だからこそ、インサイドハーフに運動量が豊富で、ボール奪取術に長けた山口蛍(セレッソ大阪)と井手口陽介(ガンバ大阪)を起用。高い位置からプレスをかけて、両サイドから素早く攻めることを徹底した。

 つまりは、対オーストラリアでなければ、指揮官のファーストチョイスにはなりえなかったことになる。危機感と武者震いを覚えながら臨んだ大一番では、100%満足できる結果は残していない。

 右サイドバック・酒井宏樹(オリンピック・マルセイユ)とのコンビで右サイドを抜け出した前半11分のシーンは、しかし、クロスをマークにきたDFマシュー・スピラノビッチに引っかけてしまった。

 同16分には左ショートコーナーから放たれた井手口のファーサイドを狙ったクロスに飛び込む。スピードを生かしてマーカーこそ振り切ったものの、ヘディング弾は右ポストを叩いてしまった。

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