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代表 7年前

フランス、強力陣容も浮かび上がる課題。FIFAランク136位にドローという現実

text by 小川由紀子

改めて浮き彫りになったレ・ブルーの問題点

 その後デシャン監督は、ジルーに替えてムバッペ(75分)、コマンに替えてラカゼット(80分)、89分にはグリーズマンも下げて、リヨン時代にラカゼットとのコンビが絶妙だったフェキールを投入して攻撃陣を一新、狙い通りカウンターからルマールが追加点、そしてロスタイムにはムバッペがダメ押しの一点をあげた。

 3点目のカウンターのシーンは、グリーズマン、ルマール、ラカゼットの3人が完全に抜け出した状態でゴールに迫り、ルマールがダメでもラカゼットが決められる、という余裕の展開。俊足のムバッペもいるとあっては、いまのレ・ブルーのカウンター攻撃は相当脅威だ。

 ムバッペの得点は、右サイドバックのシディベとのコンビネーションから。モナコ時代の僚友だけあって息もぴったりだった。デシャン監督もその点を評価したのか、次のルクセンブルク戦では、コマンに替えて右サイドでムバッペを先発させた。

 ムバッペ以外は同じ先発メンバーで挑んだルクセンブルク戦は、序盤から数多のゴールチャンスがあったにもかかわらず、相手GKジョベールの度重なるファインセーブや守備陣の渾身の守りに阻まれた。

 デシャン監督は、「相手GKのプレーは英雄的だった。我々に決定力がなかったのは確かだが、その理由を聞かれても答えられない。それがフットボールというものだ」と試合後話したが、実際には、すでにオランダ戦で見え隠れてしていた弱点が、このルクセンブルク戦であらためて浮き彫りになったと思われる点はいくつかあった。

 まずはジルーについて。攻撃手のバラエティとしてポストプレーヤーは置いておきたいところだろうが、今ひとつタイミングが周りと噛み合っていない場面も多く、『効いていなかった』という印象。

 彼はベンゼマがエースだった時代、またアーセナルでも途中出場からゴールを奪える好ストライカーだが、相手にプレッシャーをかけるという点に関しては少し弱い。先発でなくジョーカーとしての起用も効果的な気がする。

 それから、左サイドバックのクルザワ。彼は勢いのあるサイド攻撃が魅力で、そこから繰り出すクロスの数は多い。が、せっかくの好機で誰もいない遠方に放り込んだりと、精度は決して高くない。より慎重に、限られたチャンスを確実に得点につなげられるような冷静なパス出しができれば、決定機演出の確率もより上がるはずだ。

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